ヒロ、海の外へ・・・

2004/04/22

突然だが、俺は海の外へ旅立つことになった。

前回も「海の外へ旅立つ」だとか言いながら、小豆島に行くという瀬戸内海すらも脱出できていないインチキぶりに読者を爆笑の渦に巻き込んだことはかなり記憶に新しかったりするわけだが、今回の海の外というのは間違いなく日本圏内を飛び越えて海外だったりするのである。


突然ですが俺、カナダへ行ってきます。

そんなもん前回の小豆島とは規模が違ったりするわけで、パスポートを持っていなければ不法入国で海外マフィアの如く国から追われ、昼中に日本から電話をかけようものなら「こっちは深夜だぜ!勘弁してくれよhiro!!」などと地球は丸いのだなぁと思わず実感してしまうようなレベルの時差が生じ、すれ違う人間は金髪美人にナイスガイな黒人。そう、何もかもが日本では体感することのできない世界だったりするのである。

実際、日本はおろか関西圏すらも脱出できていない俺のような純正日本人(正確には関西人)にとって、相当カルチャーショックはでかいと思う。関東の味の濃いうどんすらもカルチャーショックを感じる程の俺なのに、パンのサイズからケチャップの量から肉の量から何もかもの基準が全く違うハンバーガーを売ってしまうような国へ旅立つというのは、いささか不安を感じる次第だ。

しかしまだ10代の殻すらも割れていない俺、そんな俺にとって人生生きていた中で一番の成長を与えるには間違いなく海外だと思うのである。いや、10代である以前に、未だに関西圏すらも脱出できていない俺は、間違いなく海外へ旅立つべきだと思うのである。世の中の人間は、「ボケ」のタイプと「ツッコミ」のタイプの2種類に分かれ、それ以外の人種など間違いなく存在しないと思い込んでいる視野狭すぎな俺は、海外へ旅立つべきだと思うのである。外国人流の違ったコミュニケーションというものを取り入れ、もっと違う人間になるべきだとマジで思う訳だ。

はっきり言って、かなり楽しみだ。

もしかしたら人生最大のカルチャーショックが俺に凄い感性を与え、帰り際の成田空港では、中田英寿バリのブランド一色の服装で周りも思わず道を開けるような雰囲気かもしだし、旅行ケースを引きずりながらカリスマっぽいサングラスかけて成田コレクションやっちゃうのではないかと思うのである。

日本語以外喋れない俺も、カナダへ旅立つことによって英語という技を習得し、いつのまにか移籍なんかやっちゃうかもしれない。俺みたいなイエローモンキーな日本人でも、吉井ロビンソンみたいなカッコいい名前がつけれたりする可能性も否定できない訳だ。そうなると俺なんかも寝ないで名前を考えてしまう、絶対「ジェームス」ってのは入れたいなぁなどと深く悩んだりして。けど「ロバート」って名前も捨てられないなぁなどとコンビニも10秒で出れるような俺が普段見せない優柔不断を見え隠れさせたりしてしまったりもするのであって。

もし将来有名になって、波乱万丈とかのドキュメンタリー物番組に出た時、「ヒロは19の時カナダへ旅立った。」だとかいう解説と共に、「カナダの家族」と共に撮影している写真も一緒に映像に写る。カナダのファミリーとフレンドリーに肩なんか組んだりしてですね、マイホームの前で撮った写真なんかがモリモリと映るのです。そう考えると、今から身だしなみを気にしたりなんかして夜な夜な気になっては鏡で己の姿を確認して止まない。


しかし逆に不安な事だって沢山ある。

地下鉄に乗ってたら突然同じ車両に全身刺青でシャツ一枚の大男がドシドシと踏み込んできて俺の正面に座る。ヘットホンとか粋なグッツを身につけ、ドンドンガチャガチャとうるさすぎる音がヘットホンから漏れまくり、かなりいかつい。そんな大男がオタク臭いという不理屈な理由でイエローモンキーな俺の首根っこをわしづかみにし、財布に入っている俺のトラベラーズチェックからパスポートからBISAまで全て取り上げられ、日本に帰ったらその外人が「ヒロ」って名前を名乗って普通に生活とかしてるかもしれないと思うと怖くて怖くてたまらない。

俺ぐらいの年頃の男はバスケが上手くないとバカにされるらしく、金髪女性をゲットするのはおろか、ホームステイで同じく訪れた日本人にすらも素無視されるのかと思えば思うほど不安で不安でならないのである。そんな恐怖心から「いかにバスケの誘いを断るか」そういった類のアメリカンジョークを練習すること日々絶えず修行に励んでみるのである。

日本人はみんなジャパニーズ寿司が作れるのだと思い込んでいて、スタンダードな寿司ネタから、割とマイナーなネタまで全て把握し、酢飯から握りの段階までその工程を全て行えないとバカにされるのではないかと思うと不安で不安でならない。「オマエはジャパニーズの癖して、寿司も握れないのかよ。このチキン野郎めが!」などと、逆に寿司の作り方を外人から伝授されるのではないかと思うと嫌気がさす。だから寿司の名前と漢字くらいは、百字帳で勉強しようかなぁと心底思ってみる次第だ。

純粋に語学勉強するつもりが、「バスケの断り方」から「究極の寿司の握り方」までとありとあらゆるスキルが上達し、若者でありながら生き字引になりそうな予感までもしそうでならない。いったいカナダに何しにいくねん!っと訳の分からない不安ばかりが頭をよぎるのである。


けどもまぁ、俺は今までこうやって英語とか勉強するために一生懸命仕事してきたんじゃないですか。

170万とかアレだぞ、めっちゃ大変やったぞ。一日何時間働けばええねん!って位に働いたぞ。それでも辛いと思えなかったのは、こうして海外へ旅立つという夢があったからこそできたのだ。行きたい行きたいと思ってもなかなかルートを見つけることができず、いつでも挫折していたこの一年半、この想いがようやく果たされる時がきたといった具合。

英国紳士たるとも、シュールに英語の一つ喋れたらいいなぁなどと思ってみた高校時代。流暢に英語が喋れたらどれだけイカす男だろうかっとそんなことを思ってみても、現実は赤点ばかりをとりつづけた英語の成績。「ヒロはバカだ」「ヒロの英語の成績とか最悪だ」などと酷い侮辱を受け続けた6年の英語教育。その恨みがあったからこそ、これだけ頑張れたのかもしれないなどと思うのである。

いや、むしろ頑張るのはこれからだ。6月6日。俺はカナダへ旅立ちます。

インターネット環境がなければ、おそらく半年はこのHPの更新がとまっていることだろう。けども俺は、このHPの存在を絶対に忘れません。今は更新のできるその日まで、一生懸命更新し続けようと思います。なんというか、あたしカナダに恋しちゃう。


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