ファンレター

2004/04/21

俺系のインターネット依存症のオタクというのは、外を歩くのも恥ずかしい。

今まで俺はオタクじゃねぇと全面否定してきたが、ここまでインターネットが無い生活ができなくなったネットシックな俺は、もはやオタクだろオメェ!と周りの人間に指差されて嘲笑われても否定できない。外では爽やかな好青年を装っている俺だが、家に帰ればそれはもう独房の様に光も入らないような空間でモニターの灯りだけがなんとか部屋内を照らし、ニヤニヤ笑いながらビール片手に「恵理子先生好きです」だとかなにやらマニヤックなことを書き込むどうしようもないレベルのダメ男。

多分爽やかを装ってるつもりなのであって、実はもう既に俺の見えていないところで指差して薄笑いの一つ立ててやがるのかもしれない。自分では気がついていないのだが、周りは俺の発するオタク臭におびえて避けて歩いているのかもしれない。いつもシャンプーで頭洗ってるし、散発だってちゃんと月に一回行ってるから多分俺はオタクじゃねぇむしろ爽やか好青年だと思い込んでたが、その実態は唯のオタクだったのかもしれないと不安で不安でたまらん訳なのである。

思い起こせば予兆といえるような事件があったかもしれない。

「制服かわりましたね?」ってマクドのお姉さんにわけのわからない質問をしてお姉さんにムッとした表情をされている俺の存在に気がついたり。「いつもよく遊んでいて、お互いのプライベートな悩みも打ち明けあった。心の底から通じ合える友達は、コイツだけだな。」・・・などと俺自身は思い込んでいたが、「オマエってヒロの親友なん?」って質問に対して「え?いや別に違うで。むしろ友達と呼べるような仲でもないでー」などと陰で全面否定されている俺の存在に気がついたり。

「なんでヒロ参加しなかったん?」「え?何が??」「いやだってこの前飲み会あったやん。あ、、もしかして呼ばれて無かった??・・・ごめん」などと今までに無いほど真っ青になった友人の顔を目にすることが一段と多くなった。あきらかに差別だと思えるような、オタクなら一度は受けたことあるような酷い侮辱がここ最近かなりの頻度でやってくるのだ。まだギリギリ俺をオタクだと思っていない一部の人間がいてくれたとしても、最低五割以上の人間はそう思っているに違いないと力いっぱいに危機感を感じる次第である。

まぁこんな感じで近所を歩いてても避けて通られるレベルの危機的オタクな俺だが、一応ミスタードーナツでアルバイトしたことがあった。

そんなもんOL女子大生の溜まり場とも言えるドーナツのチェーン店、そこにオタクが進入するなんて場違いにも程があるのだが、男子禁制に近い女子だらけの花園に俺が参加することができたというなんとも信じられないような事実は、確かにあったのである。

しかも特にといってキモがられることもなく、むしろ誤って恋人の一人つくりかけるという危うさ。寝ないでホームページの更新作業などをして寝癖は残るわ目も開いていないわオタクの象徴と言わんばかりの大きなクマわあるわという恐ろしい姿をしていたのにもかかわらず、キュートな女性方々が嬉しそうに話しかけてくる男需要の高さ。今では殆ど誘われることの無かった飲み会も、あの時は毎週2・3回の周期で誘われていた。そんな天国ともいえる環境があったのだった。

まさに擬似トキメキメモリアルというか、むしろリアルトキメキメモリアルというか、そんな感じでおもむろに幸せを感じつつ毎日ドーナツ造りの荒行に耐えてきた俺だったが、そんな俺にもライバルはいたのである。

もはや男の割合低すぎる故に独占状態になっていた女の子たちを狙う魔の手が襲い掛かってくるのだ。

「このドーナツ下さい」って言えば笑顔でドーナツを取ってくれるミスドのフレッシュレディー。しゃがめば思いっきりパンティーが見えてしまう厄介な制服のフレッシュレディー。それに恋したのはやはり、オタクだった。

そんなもんインターネットでは何万も出されて取引されるようなミスドの制服ですよ。一体何に使うんだかわかんないような値段で取引されるようなそんな状況ですよ。だからそれ目的にきてしまうようなオタク方々も来ちゃうのですよ。

ある日は突然手をつかんできてまさにセクシャルハラスメントといわんばかりの行為に乗り出す輩も出てきたり。いつになってもオーダーを言わず、お喋りを楽しもうとする輩も出てくる。予想外に焦りまくるフレッシュレディー、それをみて更に興奮するオタク郡。女の子からドーナツを買うというたったそれだけの行為で、擬似セックスを楽しんでしまうのだ。恐ろしい

けどもまぁこういったセクシャルハラスメントな事件はごく一部にしか過ぎない。オタク流のやり方で最もスタンダードな方法として一番多く用いられている手段は、ファンレターと偽ったラブレター。

オタクはナンパという手段を知らない。ましてや携帯のアドレスなど聞き出すことすらもままならない。たしかにドーナツを売っている女の子側からすれば、直接話しかけられてメールアドレスを教えるなんていうことをすれば、一生懸命仕事をしているのにサボっているかのようにみられてとてもじゃないが堂々と教えることなどできない。そう考えれば手紙という日本古流のやりかたは賢い手段だと思われる。

ただ、その古さとうさんくささ故に「キモい。またコイツからだよー。恐竜みたいな顔してる癖にうっとおしーわーー」などと言われる。手紙の中身を読んでみんなで笑い飛ばしてたり、読む前からゴミ箱に捨てたり。いいリアクションなど一度も帰ってこなかったりする。

けどもまぁこんなやり方もまだまだ可愛いほうだ。全然マシな方だ。


一番困ること。それはオタク故にどうしても気になる部分なのだろう。

「制服変わりましたね?」この発言。物凄いオタク臭さプンプン放ってる男がですね、息をハァハァ荒らしながらニタニタして言ってくる。まさに体を舐め回すように見ながら言ってくる。ここまで気持ち悪いことはあるだろうか?

半年に一度の周期で入れ替わる俺のミスドの制服事情、それがオタクにはたまらなく興奮するらしく、それはもう嬉しそうに嬉しそうに満面の笑みで突っ込んでくるんですよ。そりゃぁ制服売ってビジネスになるような時代ですよ。マニアックなプレーが流行るこのご時世ですよ。制服が変わるなんてもはや最高の喜びに違いない。

ラブレーターとかなかなか粋な事をしやがるオタクは全然許せるのですが、「制服かわりましたね?」っとか言いながら舐めるように体中に視線を浴びせるオタク。これは絶対許せない。目でセクハラを行ってるようなもんですよ。こんな侮辱、どうかんがえたって許せないですよ。絶対に変人にきまってる。

だからね、俺もマクドで「制服変わりましたね?」なんていうキチガイな質問をするような野郎には、指差して薄笑いしてやろうと思うわけですよ。こんなことするような知り合いが身近にいても、絶対に友達だなんて呼べない。


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