女性勝り。

2004/04/08

男にはわかんないだろうけど、私たち女ってのは月に一回どうしても悩ましい日が来るの。

その日が来るともう最悪。頭だって痛くなるしお腹だってそれに負けないくらいに痛くなる。しかもなんかすごくイライラするのよ。こんな悩み男なんかには絶対にわかんないと思う。むしろわかってたまるものか!ってなもんですよ。

っとまぁこんな話を先日女性から恥じらいを捨ててカミングアウトされたんですよ。まぁたしかに女性が月に一回こんなことがあって悩まされているなんて話は人間誕生以来の最大の悩みであって、最大の神秘である訳。俺は実際女じゃないから、女性のそういった悩み本当にわからない。

けどね、一つだけ言えることがある。「男だって悩みはある。」っということ。たしかに精神的にも肉体的にも苦しい女性とくらべれば、全くもって比にならないようなことかもしれない。だが、いつもいつもそうやって自分たち女性たちだけが悩んでいると思っている一部の女性の方々には、この「鰹節の心」というHPという場を通じて知っていただきたいと思うのですよ。そう、間違いなく男にも決定的な悩みがあるということを。

男性というのはですね、朝目が覚めると己の股間が大変な変化を起こしている。

たしかにそれは個人差がある。しかし若さがあるものになればなるほど朝そのような現象を起こしている可能性が比較的高い。ちなみに19歳という少し若さが落ち方向にすすみつつあるヒロさんなんかになると、一ヶ月30日のうちだいたい約23日ぐらいはそのような現象に悩まされる。したがって俺の朝の30分の23は己の股間を落ち着かせることから始まるのである。

でな、普通の人っていったら朝起きたときの時間ってのを家で過ごすじゃないですか。けどな、俺みたいなホテルマン系のアルバイトをしていると、朝の3分の1はホテルの仮眠室で目覚めるんですよ。刻一刻と迫る開店時間。それを考えれば考えるほど、己の股間のケアなど考えている余裕が無い。ダッシュでカッターシャツに手を通しズボンを履き、蝶タイを絞める。まずそれを先決に考えてしまう。

ホテルのユニフォームっていうのは本当によくできている。つい3分前まで熟睡していた俺すらも、バシっと引き締まって見える。背筋だってまっすぐ通って見えるし、どこかしら自分をダンディーに見せてくれる。けどこのユニフォームには決定的な欠陥があった。

足を長く見せるようにできた造り故に、朝一番で元気になってしまった己の股間が物凄い浮き彫りになって見える。

そんなもん俺がとてつもなく露出魔で、人に股間が見られるのがたまらなく嬉しくて嬉しくて悦びを感じてしまう変態だったら喜んでそのズボンを履き堂々と廊下を歩くだろう。だが、俺みたいなナイーブな男にもなるとそんな行為とてもじゃないけどできない。自分の痴態を晒して歩くようなそんな恥ずかしい真似とてもじゃないけどできない。本当だったら朝ホテルの仮眠室で目が覚めて「よし働くぞ」だとか自分で自分に気合なんか入れてみるそんな優雅な朝が迎えれるはずなのに、実際は朝起きて仮眠室で「己の股間をどうやって押し沈めようか」などというあまりにも情けなく下品な悩みで朝を迎えるというありさま。とてもとてもホテル内を歩くシュールな紳士のイメージからは遠く離れていっているといった次第だ。

朝起きてから普通に戻れる10分ほどの時間。人に会わないようビクビクしながら廊下を歩かないといけないスリルに満ち溢れた10分、その10分がこの一年とてつもなく苦痛で苦痛でたまらなかった。

で、そろそろ俺も変化してみようと思ったのです。

悩みは解決するまで悩み続ければならない。ここから先もずっと永遠にこのような不安と戦うなんて正直うんざりなんです。だから一年という区切りのついた今、自分は変化しないといけないと悟った。解決しなければ永遠に悩み続けるのであれば、その悩みを解決してやればいい。たったこれだけのことに気がつくのに俺は一年という時間を要した。

--------------------
解決策その1
「ポケットに物が」

どこからどうみてもモッコリと膨れ上がっているズボン。これをいかにどう誤魔化すかが勝負の分かれ目だと思うのですよ。

ようはその膨らみを「物」ととらえてくれれば良いのだ。客観的に見てスグさまポケットに物が入っているとそう思わせることができれば、廊下だって堂々と歩ける。洗面上で堂々と朝から歯磨きなどを嗜むことができる。

朝起きたら手をポケットにつっこむ。これだけで間違いなく快適な朝を迎えることができるに違いない。

ポケットに手を突っ込めば、誰が見てもポケットに物が入ってると直感的にそう思うだろう。見た目の印象で、一瞬にして擬似的に物をポケットに突っ込んで歩くように見せかける一種の刷り込み。簡単かつシンプルな方法とはいえ、第一印象を利用し計算しつくされた計画的な作戦。

しかしこの解決策には大きな弱点がある。

ここはどこかの安っぽいカラオケでもなければ、居酒屋でもない。ホテルなのだ。ポケットに手を突っ込んでボーっと歩くなんてそんなマナーの悪い歩き方許されるはずがない。一流の紳士たるとも、背筋をキリリと伸ばしまっすぐな姿勢をして目はまっすぐまえを見開いて歩く。勿論俺みたいなシュールな紳士には朝廊下をボーっと手を突っ込んで歩くだらしない歩き方できない。頭のてっぺんから足の先にかけて神経を集中し、誰が見てもかっこいいと思われるようなそんな歩き方を目指すのです。だから無理。

--------------------
解決策その2
「小さくて見えない」

膨らむズボン。これを極力目立たないようにしてしまえば誤魔化しがきくんじゃないかと思ってみたのです。

とてつもなく小さいサイズのパンツを履く。そうすれば己の分身は自由を奪われ、狭い狭い個室で窮屈に隠れその存在を悟られること無く堂々と廊下を歩くことができる。

ただ、この策にはただならぬ弱点がある。

腰というポジションをキツク締め付けるが故に、歩き方すらにも障害を与えてしまう。立つ、座る、しゃがむ、何気なく行っているこの行動の全てが、腰の柔軟な動きあってこそ成し得たものなのである。腰を締め付け固定することによって、腰だけが固まった状態で歩くというなんとも格好の悪すぎる歩き方となってしまう。

しかもしかも最大の弱点は着替えができないというところである。友人があまりにも小さすぎるパンツを履く俺の姿を見て指差して笑うようなことがあってもおかしくない。もしかしたら変な趣味の持ち主だと勘違いされて、今まで築き上げた人間性と信頼にすらも傷がいきかねないといった次第である。少し太った男性がしゃがんだときにズボンがバリバリと音を立てて破けるように、サイズが狂ったように小さなそのパンツも耐性に限界が生じ長くは持たない。数えれば数えるほどきりが無いほどに弱点は出てくる。

--------------------
こんなこともあって、とてもじゃないが悩みを解決する術など見つからない。そう、女性勝りに男性も、太古の昔から続く人間の神秘に大きな悩みで頭を悩ましているのだ。急速に発展していく文明、それをもってしても解決できない大きな悩み、これは人間生まれもって一生ついて回る。

月一のそれが来てイライラしている女性。朝のそれが始まってオロオロしている男性。形は違ってもそれぞれ性別ゆえに悩み戦う。悩みは解決しないといつになっても悩み続ける。が、実際解決できない悩みっていうのは確かにあるわけで。

ちなみにヒロさんの場合はもう一つ悩みがある。朝起きて股間に変化が起きるのはいいが、誰一人としてその変化に気がつく者がいない。廊下を歩くのが恥ずかしいだの一人前なことを言っているが、あまりにも未熟で半人前な俺の変化の存在に気がつくことなど到底無いらしい。

気がつかれると恥ずかしい、だが逆に気がつかれないのも情けない。しかし気がつかれるのは恥ずかしい、けども逆に気がつかれないのも情けない。っと永遠にループしつづける俺の悩み。

俺に限っては、根本的に「小さい」という部分が
解決できない悩みなのかもしれない。


home