Deep Love

2004/04/06

最近巷では「DeepLove」っていう映画が流行始めてるらしいですな。。

話の中身は援助交際をする女子高生が心臓の悪い男性と恋に落ちて、次第に普通の恋心ってやつに目覚めるとかまぁ「名犬ラッシー」とかあの辺りの童話っぽいのを現代風みたいにしたような切ない系の映画らしいですな。

しかし時代から物凄い差で遅れを取っている俺、その挙句お洒落に映画なんか見るような性格してない俺、巷で流行ってる映画とかそんなもんわかる筈も無い訳ですよ。その上、テレビすらもちゃんと見れてない。一般庶民が日曜の夕方にちび丸子ちゃんやらサザエさんを見るのを楽しみにしているように、俺は俺で水曜の深夜のタモリクラブやらどかべんの再放送などなど、ボリューム豊かな深夜のゴールデンタイムを気ままに楽しんでいた。それが最近というものそれすらも見ることができなくなってしまったのだ。これは相当なテレビ離れだと読者の方々に察していただきたい。

映画離れにテレビ離れとまさに世間離れが始まったこの俺ですが、そんな俺でもなんとかまぁ友人なんかがたまに生存を確認するレベルでメールなんぞを送ってきたりなんかしてですね、またそれが毎度毎度の社交辞令的メール「ヒロ君元気?」やら「また飲みにでもいこうや」などなどあんまり思っていないようなことを口にするのです。まぁたしかに、普段見慣れたLv3〜Lv5友人位になると本当に飲みに行ったりもするのですが、Lv3未満の友人に関しては飲みに行く可能性は絶望的と呼ぶに等しい訳であります。こんな友人には「おう」とか「元気でな」っとか5文字も超えない程度の返事で済ませるのが俺流。

一応顔だけはそこそこに広い俺。フリーターっていう身分上そういったレベルの友達なら星の数ほどできたのですよ。それでもって社交辞令メールはしょっちゅう飛んでくる。で、そんな社交辞令メールに混じって何かとてつもないオーラを発したメールがきたんですよ。それがまぁ先ほど語った「deeplove」って映画の原作文みたいなやつのアドレスなんですけど。

なんかバリバリ「転送禁止」って書かれてるんですよ。にもかかわらず、物凄い直球で転送してきた友人。しかも「読め」って一言でも書いてるならまだしも、少したりとも中身を改良せずそのまま送ってくる無礼っぷり。いくら社交辞令メール盛りだくさん人生を送る俺でも、このようなメールはもらったことが無い。チラシの文字集めて作った殺人予告書みたいななんか殺伐したやつ、そんなの今までに無い。

でまたその「転送禁止」って書かれてるから人間心理的に読みたくて読みたくてたまんなくなるんですよ。いけないことしてるとわかってるんですけどね、どうしても読みたくなってしまうのが人間って生き物じゃないですか。だからね、ついつい読んでしまったのですよ。

アクセスしたら徐にトップに「deeplove」って書かれてるの。それなのに相変わらず時代に取り残されてる俺だから一発見ただけじゃわからねぇ。次々と読みたくなり毒にハマっていってパケ料とか無視して読み狂ったんですよ。

「ええ話やん。俺久しぶりに感動したわー」などと部屋で一人浸っててその後のページをめくっていくと、「映画になった」とかなんかすげー目立つ字で書いてるんですよ。そのとき知ったのです、ああこれって結構有名なんだって。

でもね、ちょっと嫉妬した。っていうのは、聞く話ではこの映画ってどっかのサイトの小説がなんかリアルに映画になったって話じゃないですか。俺は「日記」、相手は「小説」とはいえ、同じテキストというジャンルでありながらあそこまで成功している彼と全く成功する気配の無い俺。そういうのみて本当に嫉妬したね。文章書いて成功、うらやましい限りですよ。

この後女子高生をテーマにしたエロくそして心温まる物語を読んでしばらく余韻に浸ってたんですよ。そしたら俺の携帯にまたメールが着たんです。「人がせっかく余韻に浸ってるのに」っとか独り言こぼしながらメールみてたんですよ。そしたらね、なんか過去日記にも出てきたっぽい一つ下の女友達からメールが来てたんですよ。

「大学入学しましたー」っとかうれしそうに写メール送ってきてるんですよ。校門前とかで。最初は「めでてぇなぁ!」とかまさに親父かのように暖かい目でその写真を見守ってたんですよね。けどそんな和やかムードの一瞬でふっとんだ。そういえば・・・


「こいつ女子高生じゃなくなるんだ。」


なんか急に背筋が凍りつくのがわかった。なんていうかかなりショックだぜこれは。

だってほら今まではですね、いくら高校を卒業したとはいえども、いくらあのムサイムサイ男子校を卒業したとはいえども、なんとか当時がんばったお陰で微妙だが一つ年下に女友達がいたんですよ。たしかに恋愛とかそれ以前にもはや妹ってくらいにしか見てなくて適当にあしらってた。「このガキめが」位に思ってマジ適当にあしらってた。けどね、凄く気がついたんですよ。怒涛の勢いで気がついたんですよ。


ついに俺の友達枠から女子高生が姿を消した。


身の回りにギリギリ生き残っていた女子高生と名のつく人種。それが今、たった今消えてしまった。絶滅してしまったのだ。毎日毎日長い長い坂を登ったあの朝の通学路でも、たまに高校時代の仲間で集まったときも、やってくる社交辞令メールの中身も、ごく少数だけでも存在していた女子高生という存在、それがたった今本日ををもって姿を消す。俺の身の回りから一切いなくなる。ゼロだ。無だ。わかるか?

いっとくが俺は変態とかそういう意味で言ってるのではないのですよ。どちらかといえば恐怖。

俺が年を重ねれば重ねるほど、どんどんどんどん女子高生というものから遠ざかってゆく。じわじわとだが、俺も年というものをとっているのだと実感したんですよ。女子高生という名のついたブランドが更に希少価値を高めどんどんどんどんレアになってゆく。果てしなく遠いものへと変わってゆく。たしかに今俺は恋愛というものに興味がなくなってしまってる。「恋愛ほどくだらねぇものはねぇ」とかなんか以前の俺では考えられないくらいに冷めてしまったが、そうあの高校時代。青春の時代。

毎日毎日カンカンに降り注ぐ真夏の太陽の光。その下で部活動なんかで走る俺たち。汗とかすげー流して走る俺たち。

その俺たちの頭の中いっぱいに広がっていたのはやはり女だ。男子校ならではなんだろうが、「他校の同年代の女子高生と付き合いをする」ってのがどれだけあこあれだったか。どれだけ女子高生の姿を拝みたかったか。男子校故の苦しみ、悲劇、そんなすべてが詰まった夢だったのだ。

けれども実際あるのは臭い臭い野郎どものシャツやら靴下。見たくも無いようなものばかりを見る現実。

毎日毎日走りながら俺たちは神に願ってたんだよ。「女子高生とお友達になりてぇ」っと。そんな切な願いがなんとか功をそうし、なんとかお友達になった女子高生。それがね、たった今姿を消したのだ。高校時代の余韻が今、消え去ったのだ。

いやな、けっしてその女性はな、女子高生から女子大生になったからといって魅力が薄れるというわけではない。むしろ増したと言ってもいいだろう。可愛いから綺麗に変わったと呼ぶのが実に正しい。けどな、オメーが女子高生だったから俺の高校時代の残り香ってのが残ってたんだよ!!みたいな部分があったんですよ。それが一番痛い。

そんなことを思いショックになりながら電車に乗ってたんです。

少し下向き加減で電車に揺られる俺、そんな俺に追い討ちをかけるように凄い数の高校生。なんか山のように乗り込んでくるの。どうやら俺は下校ラッシュにハマったらしく、抜け出せないレベルで高校生に埋め尽くされる。独特の高校生香を発し、うるさくなる車内。とてつもなくブルー

で、久しぶりに女子高生ってのを見つめてみたんですよ。変態っぽく観察してみたんです。

そしたらね、なんかあのときのような胸の高鳴りがなかった。なんだろうか、あの時女子高生っていったら憧れだったわけじゃないですか。想像しただけでも胸高鳴ったわけじゃないですか。

それがな、今みたらそうでもない。完全に年下。すげーロリっぽいというか、すげー犯罪臭いというか、この前まで健全な気持ちで見れた女子高生が今では犯罪臭ぷんぷんさせてる。

やっぱね、年がそうさせてしまったみたい。自分と同年代っていうかそういった枠から外れて年下。自分が高校生のときと比べてスゲーおぼこくみえる。

そのとき俺悟ったのですよ。いつまでも高校生とか過去の産物にこだわるのはよくないって。年齢相応に生きようかってそういう気持ちになれたdeepな19歳男。


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