禁断の恋。

2004/02/26

映画でもドラマでもこうよくテーマなんかになりがちなのがこの禁断の恋。

それはいつも姿を変えてどこにでも存在する訳で。たとえば結婚して妻も子供もいる男が外で女の人とエロいことしてたりだとか、好きになった人が自分の親友の妹だったりだとか、親同士が仲悪くて好きでも表向きに付きあえないとか。いつの時代でも形は違うけど似たようなことに禁断の恋は存在すると俺は思うわけですよ。

で実際、マジで熱いと思うよ俺なんかは。禁断の恋ってなんかカッコイイじゃねーか。なんかその背景には危険な香りなんかしたりして。映画のヒロインとか主人公になったかのようなそんな感じだったりもして。許されない愛。もう本当に響きからしてありえないくらいカッコイイ。カッコイイがすきな俺だからこの禁断の恋って響きに思わず酔ってしまいそう。

禁断の恋にとっていつでも敵となる存在がある。それは第三者。他人。いつどこで自分たちのことを見張ってるか本当にわかったもんじゃないのですよ。だからね、芸能人同士の恋愛の如くいつでも周りに気持ちを張り巡らし、いつどこにカメラのレンズが覗いてるかわからないようなそんな気持ちで恋愛をしなきゃいけない。けどね、人間こんな切迫した状況であるからこそ燃え上がるような恋ができるのだとおもう。それがね、禁断の恋の正体。スリルとロマンあって禁断の恋ってやつなんですよ。きっと。

で、そんな恋当然俺はしたことない。いつでも非モテをいいことに暇をもてあましてた俺が、いつでも追われながら、いつでも監視されながら、いつでも狙われながら、だとかいうようなそんな映画のような恋なんか出来る訳がない。けどね、そんな映画のような恋のヒロインやら主人公にはならなくとも、出演者的存在にはなったことがある。

しかも敵みたいな存在ですよ。毎日毎日鰹のHPを覗きにきちゃうような誠意のある読者なら理解していただいてるだろうが、俺が人の恋を踏みにじるようなことは絶対しないですよ。若干変態じみてる。っていうかこいつ変態だからって言われても今更俺は否定しない。が、俺はけっして人の恋を踏みにじったりしない。今日はその時の話とか語ってみようと思う。

その映画のような恋のステージは俺が丁度中学3年の頃。

もうね、なんていうか今更言っても一緒だと思うけどね、俺ほんまありえないくらい勉強してなかったのですわ。ありえないくらい勉強してなかった俺はマジどこの高校も行けないんじゃねーの?って教師間で日夜ささやかれてたのですよ。でな、流石に俺も不安な訳よ。せめて高校ぐらいは行きたいわけよ。女の子と同じお部屋で授業ってのはとっくの昔にあきらめてたけど、せめて男子校だけでもいいから行きたいとマジ焦りしてたんですよ。

ほんとヌルかった俺。今更勉強とか焦っても遅いんだけど、受験は刻一刻と迫ってる訳で、家で勉強することに落ち着きを感じなかった俺は近くの学習塾に行ったんですよ。こればかりはマジで勉強するつもりで。

とは言うものの、やっぱりそこは近所でも一番安い塾。本当に社員と呼べるような人間は誰一人としていないと言ってもおかしくない。なにやら不思議な外国人を意識したような謎の多い服装をした英語教師やら、オマエヨウフクガ化学反応オコシテルゾって切に訴えたくなるような服装をした理科教師。眼鏡がくもりすぎて眼鏡を取らないと教科書が見えないの域まで達した数学教師。どいつもこいつもまず見た目からその癖があり得ないくらい満ち溢れてたんですよ。それでもってみんな大学生だとかぬかすんですよ。そこまできたらほぼ嘘だろって身なり。

けど真剣に焦ってた俺。まだ公立高校には行こうって気持ちが微塵だけどあったので、この謎の多い集団に溶け込むという第一の修羅場はあっさりとクリア。まぁ勉強を教えるというレベルで言えばそう言うほどまでに問題は無い。問題は見た目だけ。いちおう教師として雇われただけの実力はある。まぁあからさまに俺の頭レベルの事なら誰だって教えれたんでしょうけど、それでも当時の俺には教師たちの存在は大きかった。結構支えにもなった。

毎日毎日塾に行ってワークシートをやって、わからんところは即座に質問。そんな毎日を送ってたのですが、事件はそんな平凡な日々の間に潜んでたのですよ。

その俺が行ってた塾には女の子が3人だけいた。それが唯一の女。しかも面白い事にその3人ってのがこの塾全体の生徒のうち女性が3人ってものなのだ。そこまでに精進された環境なのである。

まぁ3人はとりあえずまじめ。他の塾では授業中でも散々喋り狂うやつもいるとか聞いたが、その3人はその例には当たらないらしく、毎日黙々と勉強してた。

一人はまだ中学2年生。だけどのこりの2人は3年生で俺と同じ受験生。3人そろって成績はぼちぼちのものらしい。まぁ俺は成績ウンコだったから偉そうにぼちぼちっとかぬかす権利はどこにも見当たらない訳だが。

その中でも中学2年生の方は中学2年生とは思えない位の大人っぽかった。3年生の2人組みは片方はめっちゃ可愛くて片方は非常に恵まれない状態というなんともバランスが取れたコンビだった。仲はそこそこよかったらしく家の途中まで一緒に帰ってるという報告は何度か聞いた。

で、3人しか女の子がいない塾なのに、そのうち1人はめっちゃ可愛いのですよ。2クラスに一人いるかいないかのレベルですよ。だから男どももかなり興奮していた様子。ばりばりの思春期ばりの中学生ですから。

当時仲の良かった友達がいる。まぁそいつっていうのが同じ幼稚園同じ小学校同じ中学校とほぼ幼馴染みたいなもんで、幼稚園の時陰で平和な幼稚園社会をコントロールしていた通称スナイパーで毒狼とかいうあだ名のあった凄い奴。まぁそんな凄い幼稚園時代があったそいつと何故か俺は仲が良かったのですよ。俺とか明らかにいじめるいじめられるではいじめられる系体質。SとMでいうとあいつはSで俺はMですよ。そんな対極の俺らが何故か磁石のようにくっついて仲がいい訳だ。よくわからん。

で、そいつがまた勇気の塊みたいな奴だからこれまた凄い。あの可愛い子にアタックしようなどというたくらみを俺に語る。物凄い勢いで語る。で、俺も俺で意気地は無い方だから、がんばれーっとか可愛い事言ってるんですよ。心にもない事を。

まぁ好きって訳じゃないですよ。けどね、仲がいいだけに可愛い子に手をだす彼がちょっと嫉妬だったのですよ。けどもまぁあいつは勇気があって俺は意気地なし。女の子に声をかけるどころか近づくことすらままならない。だから俺は応援する側。こうなっても仕方ない。

積極的なアプローチをする彼。いつになってもいい反応のないそのコ。っていうかどちらかといえば受験にまっすぐでこっちを見る暇が無いと言った具合ですよ。受験生であと一ヶ月ちょいで受験です。そんなこと考えられるわけがない。

っと思ったのですが、受験が迫っている緊迫した学校。そこで煙が立った。なんかそのコに彼氏がいるかもしれないっていうウワサ。結構読んでる読者だったらわかると思うけどな、うちの中学校っていったら恋愛がタブーって言われてもおかしくないくらいに恋愛にうるさい学校ですよ。カップルとかほとんどいないような学校ですよ。そんな学校でそんなウワサがたったらもう総攻撃。けども受験というそれもあってか、あんまり大事にもならなかった。

けどもな、ショックよ。何がショックって言ったらズバリ俺の友ですよ。めちゃめちゃアタックとかしてたんですよ。めちゃめちゃ興味ある話題考えまくって試行錯誤してたんですよ。けど自分は最初から視界に入ってなかったってことですよ。こればかりは本当にかわいそうになった。

で、とうの意気地なしの俺はそれらしく励ましてたんですわ。「あんな可愛い子だしいてもおかしくない。可愛い子なんか他にいくらでもおる」っだとか全然励ましになっていないような事を適当に口から吐き出してたんですわ。もう形だけ励ましといた。

受験の数日前。本格的に追い込みに入ってる俺らに今度は塾内で煙が立った。

例の可愛いコ、実はここの英語教師と付き合ってるとのウワサ。

あのな、さっきも言ったけどここの英語教師っていったらそんなもん摩訶不思議ですよあれは。民族衣装にどこまでも近いようなそんな非モダンな服装なんですよ。けどまぁよく見てみれば男前だった気もしてくる。いやむしろカッコイイってだんだん脳内で美化されていく英語教師。

そうか、6歳差カップルか。中学生と英語教師ってまたまた危ない関係だな。・・・とまぁこの時点ではまさによく世間一般でよく聞くレベルの禁じられた恋だったのですよ。

で、受験前日。塾帰りに筆箱忘れて大急ぎで塾に戻った時の事。もう凄いショックをうけたのですよ。何がショックかというとな、

目の前で思いっきり抱擁してるんですよ。

なんでまた塾の入り口で抱擁してるんですか。なんで下駄箱前なんですか。なんか思いっきり見てしまったじゃないですか。生徒と教師の禁断の恋目の前で見てしまったじゃないですか。

いやーいらぬものを見てしまった。っていうか今まさにチューの一歩手前ってやつじゃないですか。お邪魔したのは本気で悪かった、っと思いつつ何故か俺はきっちりその2人の姿を確認してたんですよ。でな、もう一つ衝撃の事実を知ってしまったのですよ。


女の方が思いっきり可愛くない。

いやはやここが一番驚いた。実は付き合ってるのは可愛い方ではなく、恵まれない方だったとは。本当に世の中上手く出来ている。

まぁここで全てを知ってしまったのですわ。俺一人が全てを知ってしまったのですわ。もうまさにドラマそのもののように俺も筆箱忘れて、もう演出としかいえない限りに目隠しの効いてるドア。でもって開けたらこれですよ。まぁキスしてなかっただけ本当によかったと俺は思った。

けどもまぁ事実を知ってしまったとはいえどうしても言えない隠し事を一つ、友人に作ってしまった。実は憧れのあのコは物凄くフリーだという事実。こればかりは最後まで言わないでおこうと思った。確かに可愛いコにアタックするというその友人の行動に嫉妬する気持ちもあったが、一番はそれがわかった理由と彼女自身の気持ち。

恐らくこれは何も見なかった何も知らなかったということにしてそのまま受験するのが一番よいだろう。本当に、こんなドラマのようなことが本当におこるものだと戸惑いを隠せない。

一方中学生と教師という犯罪的な禁じられた恋である上に、バレたら俺と友人の仲まで破滅しかねないような危険度満載の禁じられた恋までやってのける2人。

本当に恋とはスリルとロマンだって悟りましたよ。このときばかりは。


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