ちぃちゃん

2004/01/27

うちの家には発情してるメス猫がいる。

たしか一年くらい前にも日記で書いたと思うのだが、我が家には一年前から発情した猫がいる。っていうか一年以上発情している猫がいる。もうね、毎日毎日俺の男のフェロモンに情熱を感じた発情メス猫がですね、ケツを思いっきり上げて俺に迫ってくる訳ですよ。とてもとても甘い声で甘えてくるんですよ。

けどね、そこは男ヒロ。そんなね、男以前に人間としての存在すら危ぶまれるそんな行為には及びません。でね、純粋に頭を撫でてやるわけですよ。「がんばれ。いつか去勢の手術受けさせてやるからな!」って何度も何度も金のない俺は飼い猫の発情猫に言ってやるんですよね。それ言い続けて一年になる訳だが。

で、その発情猫の名前がちぃちゃんって名前なんですよ。勿論、「ちぃちゃん」の「ちゃん」までが名前なんですけどね、俺はたかが猫相手に亭主関白ばりに、「おいちぃ」っとか呼び捨てなんぞをしてるんですよ。おいちぃって。

そんなある日、そんな発情猫を横目に携帯なんぞをのぞくと、一件のメールが届いてたのですよ。その画面にもこう映ってたんです。「ちぃ★」って。名前の欄に

懐かしい友達です。飼い猫の名前も確かにちぃだったが、友達にも確かちぃって名前の子がいたな。たしか一個だけ年下の女の子。ってことは、今もギリギリ現役女子高生な訳ですな。けどまぁギリとはいえ、女とはあからさまに無縁な俺の携帯に、もうかれこれ一年以上はメール全削除したことのない俺の男携帯に現役女子高生が一体何のメールなんだと。あのね、「ちぃ」って名前の後に★マークがついてたりするんですよ。「ちぃ★」ってね。このメール一つでどれだけメールボックスが華やかになったことか。男携帯が華やかだと。絶対許せない。

怒りに震えながらゆっくりメールを開いてみると、そこには女の子らしいファンシーな顔文字絵文字で満ち溢れていた。久しぶりに文字と文字の間に色のついてる文字を見たんですよ。そういえば携帯にはこんな機能あったなーっとか思わず感心する勢いで絵文字にみとれてたんですよね。で、そこでまぁわれに返ったのですよ。そんなことよりも内容読まないと、ってな具合で。

「ヒロ君お久しぶり。生きてるかー
あたし実は彼氏ができてん。今最高に幸せだわ。
またへタレな話でもするぜー」(※絵文字顔文字省略)

うほっ。こりゃまた普通の男が聞いたら怒りで震え上がるようなメールですな。でもね、俺はこのメール見た時、なにげに切ない気分になれたのですよ。この女の子が彼氏を作るまでにどれだけのドラマがあったのかと思うと、もう胸が痛い。そんなエピソードを今日は語ってみようと思う。

時はちょうど一昨年の最後。丁度俺が鰹節のなんとかーってな名前のHPを開設しようかしまいかの間際だった。

そりゃそんな時期に起きた事件ですからね、なんどかこの日記にも出てきてるかもしれない。けどね、もうとりあえず純粋な読者ならそんなこと忘れろ。昔の日記なんぞ俺は覚えてない。そんなもん掘り起こしたらけっこう内容かぶってる日記なんてホイホイ出てくると思いますからね、覚えてないってことにしといてくださいよ。まぁそんなころの話なんですが、ちょうど先輩の路上ライブなんぞを見に行った時にですな、その時お客さんとして来てた女の子集団がいたんですよ。

その女の子集団聞くところによれば、その先輩の友達なんだそうだ。まぁ桜とはいえ、最後までライブに残ってくれたことに感謝した先輩は、ライブが終わったあと俺とその女の子集団に飯の一つおごろうなんて話になったのですよ。さすが太っ腹先輩。気前良すぎ。

まぁ勿論。先輩はモテモテ。で、俺は非モテモテ。だから俺は一人はみってたのですよ。会話から明らかに浮いてる俺。もうなんていうか、飯もういらないからここから立ち去りたいというか。っとまぁそんな心境に立たされているとき、なにげにしゃべりかけてくる子が一人いたんですよね。まぁ初対面もあって全然喋るの部類に入らないような少ないトークだったけど、さりげなく俺と喋ってくれるのよ。

そんなもん路上ライブやらライブハウスやらが大好きな世代の女の子ですよ。そんなもん若干どころかけっこう派手派手な女の子集団ですよ。オマエ本気で高校生か?っていうようなメイクな訳ですよ。そんな中にもたまにいるんですよね。可愛い子が。

まぁその時喋りかけてきたのがその可愛い子だったのがびっくりした。4人いる中で唯一「お、この子はイイな!」って心の中で思った子がですよ。派手派手な女集団に当時の女苦手癖があったにもかかわらず、「お、この子はイイな!」って心の中で思った子がですよ。なんか俺に喋りかけてる訳。なんか必死になって。

しばらくトークをしていると、だんだんなんか見たことあるなってな気分になってきたんですよ。でもね、こんな派手派手な女、普通に身の回りにいない。聞いてみれば、なんとまぁ同じ中学校の同じ部活。同じ剣道部の後輩だったとは驚いた。あの当時は言うほどまでぱっとしなかった彼女が、まぁこんなに可愛くなったですよ。本当に時の流れってすごいとおもう。

この日、けっこうみんな盛り上がって、仲良くなってしまって。この日以降もよくこの集団と遊ぶようになったのですよ。その都度ちょっとだけ話することがあったんです。この子と。

あだ名はちぃって呼ばれてるらしい。そこでなんでかわからんが俺も調子に乗っておいちぃって呼び捨てしてたんですよね。「目立ってる男はあまり好きではない。悟ったような雰囲気の男ってちょっと苦手」っといった具合で、あまり先輩とは合わないらしい。で、必然的に俺になる訳。俺だから話すのではなく、俺しかいないから話すっといった次第なのである。

そんなちぃが変化し始めたのは、去年の夏あたり。悩みが爆発し、拒食が始まり。あんなにぷっくらしていた体が一気に痩せほそっていった。

夏休み最後のこと、簡単に飲み会なんぞを開いたのだが、これはまた凄いものだった。食べ物が口通さないにもかかわらず、酒とか飲むの。だからね、凄いことになった。思いっきり男の俺目の前にしてゲロゲロっと。トイレに行ってゲロゲロっと。帰りのタクシーでもゲロゲロっと。オマケにみんなの化粧もゲロゲロっと変化。もうありえない。

ボロボロになってみんなに抱え込まれながら家まで連れて帰ってる時、彼女がふと口から漏らしたんですよ。

「ヒロさんあたしでよかったら付き合ってくれ」っと

そんなもんね、ゲロゲロしたあとに告白なんてシチュエーション、まず俺くらいしかいないと思う。飲み会に行く都度俺の目の前でナンパされる彼女。ヤンキー絡みの兄ちゃんにスゲーアタックされてるけどそれでも拒否し続けた彼女。そんな彼女がゲロゲロした後に酔った勢いで告白。俺だから告白ではなく、俺しかいないから告白っといった次第なのである。

ゲロゲロした後の告白がいやだった訳ではない。ただ、俺もそんな易々とOK出す俺じゃないですよ。たしかに可愛いですよ。めっちゃ可愛いですよ。ゲロゲロした後だけど可愛いですよ。けどね、なんかこの子とは恋愛対象と言うより、兄妹みたいな感覚。だからそんな風に考えられない訳ですわ。

しかしまぁ食べものを拒絶するほどに潰れてしまった彼女の心。よほど寂しかったのだろう。本気で彼氏みたいな人に慰められたかったのだろう。っていうか、寂しかったのだろう。

そんな事件があってから半年足らず。何度か病院にも行ったとか色々ウワサは聞いたが、俺も多忙のあまりあまり相手にできずほとんど不通の状態。そんな状態でこの一通のメール。彼氏できたよの一言。

もうね、本当に嬉しかった。力いっぱい喜んだ。お父さん嬉しいよって言わんばかりに喜んだ。けどね、ちょっとだけ寂しい気分になった。

例えるなら、娘を奪われた父親のような気持ちな訳よ。こうね、なんか嬉しいんだけど、素直に喜べんのだわ。本当にね、力いっぱい喜びたいんだけど、力入れきれないのですよ。

今願うことがあるとするなら、彼氏が悪い人じゃないことを願うことくらい。俺みたいなね。


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色々あって、更新遅れてしまいました。本当に申し訳ないです。

今凄く忙しい時期に達してしまったのですよ。夜中の2時半だって言うのに友人のためにエロ動画だって3作品くらい焼かないといけないのなんの。信じられない位無駄に忙しい訳ですよ。無駄に。

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