欲しい物は自分で作る

2003/06/03

ある日俺はマニヤックなパソコンショップにいた。

手に持っているのはファイナルファンタジー11。誇らしげな表情でそれを店員に渡した。ポケットから財布を出す。

店員はすかさず突っ込む。「お客さん。このゲームは性能を満たさないとプレイできませんよ。素人には簡単に手出せるしなじゃありませんし。」

俺「ふーん。なんならスペックいいましょうか?」

俺の顔は自身に満ち溢れていた。


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ことの成り行きというのが4月の最後あたりだっただろうか。俺は無性に最新のFFがやりたくてやりたくてたまんなかった。

今までのFFシリーズは家に帰ってゲームの機械にぶっこんでスイッチオンで速攻プレイできたのだが、今回のFFはオンラインゲーム。いろいろややこしい設定やら出てきて半場あきらめモードたった。っていうかパソコンでやろうと思ったらかなり高性能なパソコンを使わないとできないらしいじゃありませんか。

高校生くらいからゲーム離れが始まった俺。高校生活は部活というやつにふんだんに己のパワーを出し切り、ゲームというものとはもはや無縁の存在と化していた。

だが今、久しぶりにゲームをやりたいという久しぶりのときめきに駆られたのだ。強そうな武器を持ってワルをやっつける。少年時代誰でもあこがれたあの興奮を、18のいい野郎が再び体感したいといった次第である。

しかしそれには大きな壁があった。パソコンが高性能じゃないといけないということは、多額のマネーが必要なのである。

いやね、いまさら言うのもあれだけど、俺金ないよ。20万とか超えるパソコンありえないよ。だからね、即却下。考える暇なんかいらない。

無理なものは無理だと完全にあきらめきっていた俺。それがこの4月の最後を境に、大きく揺れた。


このHPで期間限定チャットなどという企画を4月の最後に行っていたことを知っているだろうか?

っていうか知らないだろうな。だって来たの一人だったし。

そのときの一人っていうのが、テキストサイト「なさ@まさ帝国老院」のnasaさん。FFができないと嘆き悲しむ俺を前に、nasaさんは俺に大きなアドバイスをしてくれた。


「自作PCつくってみたら?」


ときめいた。

FF11がしてぇしてぇっとか狂おしいくらいにときめいてた俺だったが、こんな新鮮なときめきは久しぶりだ。いやぁなんか青春が帰ってきた気分だった。

自作ですよ自作。昔から欲しい物は自分で作るという信念を持っていき続けた俺、気がつくならもっと早く気がつくべきだった。そうなんだよ。欲しい物は、最低限の予算で手に入れる。これがシュールな男の生き方じゃありませんか。

思わずパソコンのモニターを前にガッツポーズをしてしまった。決めた。俺は絶対にパソコンを自作してやる。どんなことがあってもあきらめねぇぜと。

以前から行きたい専門学校の特質上、どうしても自分用PCがほしいと思ってたんですよね。だから何か目標持ってパソコン作れる機会があるなんて、本当にいいチャンスだとおもう。目標があるのなら適当なことはしないだろう。

2週間、俺は本屋という本屋を回り尽くした。10冊パソコン自作やらパーツやらが載ってる本を熟読、慣れてきたらBIOSっていうちょっと専門的なものがパソコンがあるんのだが、そういう本も読み狂った。

厳選して選び抜いたキワモノパーツやら優れ物パーツを低予算でチョイス。色んなお店を見て回って一番安いものを購入することになった。

断言するね。俺今かなりのオタクだと。2週間でかなりのオタクに変貌したと。自作がオタクの仕事ってのは昔の話であって、最近なんかは誰でもやってるもんだと世間では歌われてるけど、実際自分が自作やろうになって速攻わかった。かなりマニヤックだって。

HPの更新もしないでものすごい勢いでパソコンの勉強をしていた俺。そんな俺のたわごとなんてどうでもいいだろう。だが一応お熱く語るだけがこのHPのコンテンツなので、マニヤックと呼ばれようとなんと呼ばれようと、少しだけみんなに語ってみようと思う。この2週間のすべてを。


まず自作をするにあたって一番最初に調べたのが、俺の場合はグラフィックボードという部品だ。

一行目からいきなり眠くなる読者も続出しそうな名前だが、この部品は俺が自作する上で一番重要な点でありこいつを中心にパソコン作ったといっても過言ではない。

俺のやりたいやりたいっていってるFF11は、めちゃめちゃすげー3Dとかいうグラフィックスつかってるらしいのよ。普通のそこらで売ってるようなパソコンでは表示できねぇんじゃねぇのかって位にすげぇわけですよ。

グラフィックボードっていうのはパソコンのモニターに画像を映す部品な訳で、そいつがショボかったら当然ながら画面にはそんなかっこいいスゲェ映像が映らないのは当然。こいつ一枚でFFのスリルと情熱の映像が決定しちゃうんですよ。

こいつがまた高いからね、本当に慎重に選んだ。FFが最低できて最低な値段で悪いうわさも無く欠陥が少ない。そういうのを慎重に選んだ。

ちなみに名前は「Radion9000」っていうんだけど、詳しい話はめんどくさいので却下。


次に俺が調べたのは、CPU。

もうね、はっきりいって意味不明だった。周りに注意されるまでCUPっていってたしね。でもって心のなかでカップってなんだよ!って突っ込み狂ってたからね。

自分のパソコンに積んでるCPUくらいは最低知っとけって回りから鋭く指摘されてたが、俺は一度だって調べようとしなかった。自作について調べるその日までCPUってどんな物体なんだろうと恥ずかしながらまったく理解できてなかった。

ちなみに今まで使ってたパソコンではDuronってのがのってた。クロックも850とか書いてて「え!こんなに早いんだ!」とか一人勘違いしてた俺が今思えば思うほどなさけない。そりゃそうだ、2.8よりも850の方が数字では多いよな。単位がなかったら。

パソコン屋のパソコンなんてね、数字か多けりゃ勝ちなんですよ。初心者相手の商売なんてそんなもんなんだ。そうとしか思えない。

とりあえず今は安いのを買っておいて、お金がたまったらいいやつを買おうと思う。世の中の自作ヤロウの間ではアスロンを使うのが今もっともトレンディーとなっているらしいが、近いうちにソケット(なんかね、CPUくっつける部分みたいなやつ)をモデルチェンジするらしい。

そんな将来の無いCPUはとりあえず却下なので、あえて高いほうのintelって会社の製品使うことにした。


でもって次はメモリ。

世のお父さんがメモリの増設作業なんかをかっこよくやってのけてパパすごいなイベントを発生させて親父としての地位を確立すべくあるメモリ。

男なら1ギガだろ!っとまたしても数字に物を言わそうとしたが、相変わらず財布が泣けてくる始末で挫折して512をチョイス。DDR〜やらSD〜やらいろいろ種類はあるけど、つながればいいのだつながれば。

PC2700とかまたしても数字が出現したのだが、多けりゃいいのだ多けりゃと相変わらず適当に終わらせる。


マザーボード。

とりあえず上の3つがつながればいいのだろう。


ケースとかCD−RW。

できれば高性能。


フロッピー。

つながるやつ。


最後に向かうにつれ適当になっている事実は秘密。


HDD。

パソコンの記憶箱みたいなやつ。60Gと80G。80Gと100Gで値段の差を調べたらあきらかに60Gと80Gの方が小さいから80Gをチョイス。100超えたし高く売れるだろうというメーカーの腹黒い裏知恵が見え隠れして楽しい。


そんな感じでパーツを購入。

さすがに10冊も読むと、解説本読まなくても小2時間程度で完成する始末。BIOSとかなんかものすごい勢いで設定してるんですよ。信じられなかったね。

マザーボードにオマケみたいにくっついてきたうぃんどうずえくすぴーをインストール。モニターにはゴミ箱がひとつ。たしかに画面に映るのはゴミ箱ひとつかもしれない、だが俺の頬には暖かい汁が無数に流れ落ちてるわけですよ。やったぜついに俺は完成させたと。

長い戦いの成果もあって、今日ついにFF11をプレイします。FFのせいでまた更新率落ちただろなんて言わないでおくれ。

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