マジな恋愛をして欲しい

2003/05/01

俺には中学時代まで仲の良かった親友がいる。

彼との出会いはちょうど小学校3年くらいだっただろうか、彼の父親の仕事なんかの都合で静岡から転校してきたのが出会いだ。

転校してきた当初から仲がよかったのか?っと言えばけっしてそういう訳ではない。彼の人の良い性格からクラスにもすぐ溶け込み、友達とだって転校してきた初日くらいからフルに遊びまくっていた。俺が入るスキなど無かったくらいに彼は大人気だった。

しばらくすると、夏休みが始まった。彼が転校してきたのは一学期の真ん中くらいだったので、夏休みはすぐにやってきた。

夏休みの初め、外に出て虫なんか取るようなそういった健康的な生活を嫌った俺は、朝から夏休みアニメ劇場なんぞを堪能していた。朝から「やったーマン」とか見放題聞き放題といわんばかりにたんまり見ていたわけですよ。

いやね、はっきりいってこれくらいは当時の小学生としては普通だと思うよ。当時の小学生っていったらスーパーファミコンで深夜を明かすような野郎だって平気でいたわけですからね、朝はアニメ劇場を見るという生活は至って健全な生活だったはず。

だがしかし、田舎育ちの両親にとってそんな俺の姿は不憫にみえて仕方なかったらしい。やっぱ小学生の夏休みは朝から外で遊び狂ってこそ真なんだと。そりゃぁね、俺だって田舎生まれだったらそんな生活してみるよ。けどね、ここは都会。いっとくが10メートル間隔でクーラーのきいたコンビニやらスーパーとかそういうもんが並んでる都会ですよ。そんなもんクーラーに逃げるにきまってるじゃありませんか。

しかしそれを知ってか知らぬのか、朝から母は俺に友達と遊べ友達と遊べとかなり友達遊びを強制してきます。遊ぶことまで強制するとかほんとありえねぇし。

ダルいなぁ・・とかグタグタ言いながらしゃーなしに電話帳なんぞを開いてみるんですよ。普通友達の電話番号っていったら覚えてるくらいが普通なんですけどね、小学校一年の最後くらいで親友に転校されたのも助けて、3年の今に至るまでほとんど親友と呼べるような人間が身の回りにいなかったのですよ。電話番号覚えあえるような深い友情など全く触れてないままで・・・

で、しゃーなしに電話番号をかたっぱしから順番にかけまくろうって魂胆。きっとみんなもこの時間はアニメ劇場を見ているに違いない。俺の電話とか100%邪魔だね。俺だったらまず電話にも出ない。

そこで何を思ったのか、出席番号一番上からかければいいのに、何故か知らないけどそのとき俺は下から順番にかけてたんですよ。本当になんでそんなことをやったのか未だ覚えていない。けど俺は無意識のうちに下から順番にプツプツとかけまくってて。

勿論電話にでる野郎なんかいやしなかったですよ。どこの家にかけてもお母さんが出てきやがったよ。みんなね、アニメ劇場以前に寝てたわけで。みんな爆睡。誰もおきてない。

それでもめげずにかけつづけた。徐にかけまくった。そのとき一人だけ本人が出たやつがいたんですよね。


そう、それが今から話す、中学時代までの親友だ。


そのとき以来、彼と俺は死ぬほど遊び狂った。毎日毎日秘密基地やらマリオカートやら色んなガキ遊びを遊びまくった。今思えば小学生としての夏休みを満喫してた気がする。

小学校時代、俺は6年の最後まで夏休みに冬休み、春休みまで彼と一緒にいた。小学時代、傍らには常に彼がいた気がする。背の低い俺、背の高い彼。まるで運命の出会いかのようにバッチリのコンビ。ボケもツッコミも息ピッタリであった。

中学に入り部活やらなんやら、塾やらなんやらでもうそれはそれは忙しさが増してきた。ここまでくるともはや小学生の時みたいにはいかないが、たまに彼の家に行って夕食を頂いたり絆は消えることは全く無かった。入る部活も入る塾も全く違ったが、たまに会って語ることなどよくあった。それが普通みたいな感覚でそれをしていた。

そして高校。余りにもバカが激しかった俺は、彼と同じ学校に行くことはできなかった。いや、むしろ一緒の学校に行くとかそういうことはあんまり気にしなかった。お互いがお互いを強制することはなかったので、2人とも全く違う人生をふんでいる。接点が少ないからこそ語り合う時楽しかったりもするわけで。

高校時代、彼はかなりのイケメン野郎に成長していた。服とかのセンスも最高で、そのうえ背も高くカッコいいわけだ。彼はモテる要素もちまくり。俺とは本当に対象的。

しかし何故か彼は彼女ができなかった。そしてモテ無いオーラ出まくりの俺が何故か恋愛をしていた。お互いが本当に違う人生を踏んでいるというのはやっぱりここだろうか。

彼と会う機会はこのときほとんどなかった。しかし会わないということは無かった。ただ、親友と呼べる仲かどうかとなると否ってこと。お互い中学までの親友だってきっちり割り切っている。

高校卒業。彼はなんとまぁそこそこ名のある大学にいった。俺はフリーターだから、確実に全く違う人生を踏みまくっている。ここまできたら接点とか全く無い。会う理由すらも見つからない位だ。

最近見ないなぁ・・・そんなことを久しぶりに考えながら、俺はある日ダイエーでパンツの品定めをしていたわけですよ。パンツ不足に悩んでたから、安くて質のいいパンツを探し求めてたんです。

すると久しぶりに彼にばったり出会った。パンツの詰め合わせとか2パックとか物凄い勢いで持ち歩いてる俺をいきなり発見ですよ。彼もまた物凄い勢いでTシャツとかチョイスしてたんですよ。

彼の横を見るとなんと女が!お、お、女がいたんですよ。何故かイケメンなのにモテなかった彼がなんと女を傍らに連れてるじゃないですか。凄く嬉しかったですよ。体中に電撃はしるくらい嬉しかったね。

しかしこれまたなんで俺がパンツを物凄い勢いでチョイスしているときに出会ってしまうのだろうか。ある意味痛い系人生決め付けられてるのだろうか俺は。パンツとか徐に手にもちながら彼に接近。

むこうが声をかける前に気が付いた。「おう!久しぶり!」

「おう!がんばれよ!」

俺は何故か興奮か、はたまた親友の彼女の前という環境下での照れ隠しだか、わけのわからん返事を返して何故か立ち去ろうとした。

「おいおいおい!」凄い勢いで阻止する彼。このまま阻止してくれなかったら俺はパンツを見せ付けただけのただの変態じゃないか。本当に助かった。

彼のナイスフォローのおかげでなんとか接戦にもちこんだ。しかしまぁ良く見るとこのおなごこれまたなかなかの組折のベッピンさんじゃありませんか。べっぴんたんもべっぴんたんですよ。そこに感動すらも覚えたね。

開き直って俺は「パンツ選んでるねん!ホテルのバイト半場住み込みやからパンツが大量に要るわけだわかるかM君」って凄い声張り上げて言ってやったよ。我を忘れていってやったね。

「はじめまして。うちのイケメンをよろしく」軽く会釈した。すると女の子も「はじめまして」って照れながら丁寧に言ってきた。

出会いが無い出会いがないとか口癖のように言ってたくせに、いいおなごつれてる。気品もあるし全然文句つけるところなどどこにもない。悔しいくらいじゃねぇか畜生。

聞くところによると、付き合ってまだ3日らしいじゃありませんか。まだ接吻もしてないような若葉カップルなんだと思えば思うほど喜びを隠せない。逢引とかそういうものが全く想像できない素晴らしさ。

「いい恋愛しろよ。」

2人と別れると、俺は一言そうメールした。友情とか信頼とか心配とか深い想いとかすべて詰め込んで彼に一言メールした。

そして今日、あの2人はうまくやってるだろうか・・・そんな余計な心配をしていると、彼から一つのメールがやってきた。

「おうヒロ!今日ミスドで発見したで。忙しそうにドーナツ売ってたわ!!ちなみ彼女と2人でした(笑)」

ちっ、バレたか・・・っとは思わなかったが、彼女とは相変わらずなんだと再認識して嬉しかった。第一ミスドで働いてることくらいは余裕で知ってるし。

それからちょくちょくメールは続き、久方のエロトークが始まった。彼とはですね、エロだけでは共有できる部分持ちまくりなわけですよ。しかし普段クールで紳士なタイプをやっている彼にとって、エロ悩みを言えるのはやはり俺だけらしい。もしかしたらまだ親友やってんじゃねぇの?って思う。

「ホテルどこにあるとか知ってるのか?」

「え、まぁ、そういう時期もあったからな。。猿みたいにエロしてた時代が」

「どこらへんなん?」

「おいおい!聞いてどうするつもりだ!もしかしてもう結合なされるのですか!?」

「え、うんまぁ・・・」

ええええええぇ、嘘だろ。こんな返事が返ってくるなんて考えもしなかった。「いい恋愛しろよ。」そうメールしたときの返事って何だったと思う?「初めて手つないだ!!!」だぞ。こんなピュアな18男いまどきいるか?

だから心底安心してたのにね。彼なら絶対に幸せな恋愛できるだろうと。パコパコパコパコセクシャルにイチャツキまくる男ではないと思ったのに。

オメェまだ付き合って3週間くらいじゃねぇのか?それがもう棒の出し入れ大会の話までもつれ込むのか?出し入れしまくり?っていうかもうしてる!?え、どうなんだ一体。


「今日もイカせました」


マジかよ!ちょっとキミには失望したぜ。っていうか親友でありながらこんな強欲な一面があったなんてびっくりだ。普段クールな彼がここまで開発されているとは。


「っていうのは嘘です。本当はまだ・・・・」


っていう展開でした。彼の嘘も見抜けないなんて俺も衰えたものだ。

「でもそろそろそういう時期が迫ってると思うねん。」

「そうか?早い気がするぞ3週間は・・・」

「嘘?でもキスしたら勢い余ってそのままギリギリまで行ってしまった。」

「早くやりすぎたら虚しくなるで。恋愛が冷めるっていうか・・・・」


俺的にはカップルなんてめったにセックスしなくていいと思う。たしかにセックス自体に興味があって、そればかりやりたがるような時期もあると思うけど、基本的にそういう行為をやってしまったら恋愛って部分が見えなくなる気がするんですよ。

俺がもし今恋愛をするとしたら、たとえ相手が物凄い勢いで求めてきてもあんまりそういうことしないと思う。いやむしろできないと思う。

彼と俺とでは考え方なんて全く違うものだと思う。いくら親友だったとはいえ、考え方がぴったしだったら逆に合わなかったと思う。そこに自分の考えを押し付けるべきだとは思わない。けど、、、セックスはせめてもう少し後にして欲しい。

アレを早くしていいことなど絶対にない。セックスはね、ほんとうにたまにやるだけでいいのだと思う。

「明日くらいにまた語ろうや。」

そういうメールが来た。詳しい話は明日になるらしい。

親友だからこそ彼女ができたという事件は俺の中では嬉しい。だが、同時に彼にはどうしようもなくいい恋愛というのをやってもらいたくてたまらない。俺的には「手もつなぐのがちょっと恥らしい」ってくらいがちょうどいいと思う。いつかはそれすらもできなくなる時期が来るものだし。今はただ、「心<肉」な恋愛にならないことを祈る限りだ。今はただ・・・