一流ホテルで調教される。

2003/03/17

さてさていよいよホテルの研修です!

まさかこんな有名なホテルのボーイができるなんて思いもしなかった。有名なサッカーの監督とか野球ではロッテとかめっちゃ泊まりまくってるホテルなんですよ。そんなホテルでボーイをすることになったのだ、ウキウキワクワク胸の鼓動は高まるばかりといった次第なのです。

さてさて今回も弱った。

だって一流ホテルってやっぱり車用の入り口がないんです。車を持ってないやつは一流じゃねぇって思ってやがるこのホテル。ほんと畜生だ。

俺とか原付の免許すらも持っていない。折角の18才だというのにツタヤのカード作れないからエロビデオの一つも見れない。こんな俺が車で一流気取ってホテルに浸入とかありえねぇわけで、当然俺の愛車「マグナム4号(自転車)」で気持ちだけはひときわ優雅な気持ちで誇らしげに車専用入り口から浸入を試みます。俺ってなんて場違い野郎なんだろう。

いつものようにボロボロのGパンと一冬を共に過ごした親しき心の友であるボロボロのジャンパーを羽織る。コートなんか買えないからダサ度100%風味で自転車爆走。もうね、高級ホテルなんか全然関係ないよ。ほんと全然関係ない。

今回浸入を試みたのは前回の面接の時に行った正面ロビーとは違い、社員用入り口。社員用入り口まで車って時点でありえないんですけど、こういった金の無いアルバイターなんてしょうがないと言えばしょうがない。

事務室の人事課にはギリギリ到着。メインのミスドのバイトが死ぬほど人がいなくって相変わらずギリギリまでコキ使われてたんですよ。一番身分が下なあげく一番仕事はできない、でもって一番年が下という信じられないくらいに下っ端野郎な俺ってのはコキ使ってくれるだけで十分。でもね、他のアルバイトにまで支障きたすんじゃないかと言わんばかりのこの勢い。マジで信じられない。ありえない。

しかしまぁ間に合ってるのだ、文句を言ってちゃいけない。グチグチ言うなんて男の子らしくないわねってこのHPを見ているごく小数の婦女たちが風呂上りにバスタオルなんかを羽織ってミルクアイスティーなんかを右手に華々しく持ちながらすすり笑ってるに違いない。そう思うとかっこ悪い俺なんかおっぴろげできないわけであります。

遅刻まで残り1分ギリで間に合った俺。その30分後には神々しくソムリエィみたいな薔薇とか似合いそうなスーツ紳士がやってきて言うんです。「おまたせ、待ったかな?」・・・うん、マジでギリギリセーフだったようだ。

資料の説明とかされると、ボーイの制服なんかを用意してもらってでっかいホールのような部屋に連れて行かれる。

俺と一緒に研修を受けるのは合わせて2人。2人でホールの中ずっと待つ。ずっと待つ。ずっとずっと待つ。なぜかしらんがいかにも浪人生みたいな野郎と2人で同じ時間を共にする、アナルとアナルの関係になることはなんとか免れたが、この空気は何?一体何なのだ。イツのまにやら緊張がトキメキに変わらないように気をつけなければ。気をつけて気をつけて。

しばらくすると扉を開き教育担当の最高幹部が現れた。

2人は一瞬黙った。言葉を失ったというより、言葉を発することすらもできなかったのだ。

もうね、すげーんですよコレがまた。メガネにチェーンとかついてて首からかかってるんです。髪の毛とかもありえないくらいに神々しくハタハタとたなびいてて、手には教育の手引きと記された分厚い本持ってるんですよ。めがねもありえないくらいにとんがってて、ありえんくらいに女王様やってる。

やばい、コレは確実に。教育ではない。調教だ。

2人は一瞬にしてそう確信した。あのハイヒールで今まで何人のオトコを虜にしてきたのだろうか。何人のオトコをを調教して奴隷としてあしらったのだろうか。こんな女王様やってる女王様今までに見たこと無い。アニメとかでやってる女王様そのもの。ここまできたら最寄のSMランドとかでも全然働いてそう、全然違和感なしに働いてるって間違いなしに。

「教育係りの、桜井です。」

めがねをキリって上げながらシチュワーデスみたいな発音で言う。これは間違いなく自分でも意識しまくってる純度100%の女王様だ。うわー怖いなぁ。これからこの女王様に調教されると思うと悦びだかコワ汗だかわかんねぇがなんかドキドキするぜ。

「よろしくお願いします。」

女王様は続けて言った。語尾とか完全にスッチーってる。でもってその女王オーラ出まくりのヘアーをたなびかせてスラっと礼をキメル。私はお高い女って光線がスゲーとんでくるんですよ、俺のハートがずっしり受信しまくってるんですよ。

「お、お願いします。」

2人は今から調教の真髄を叩き込まれるかもしれないであろう、この女に礼をする。ビクビクしながら。俺はマゾッ子じゃないんですよ。したがってこういう鞭とロウソクで脳裏に焼き付けるような教育をしそうなこんな女はマジでありえないわけです。だからグフフフ♪って可愛い女子校生発見した時みたいに素晴らしい変態笑いを浮かべることはできない。


「違うわ!」


いきなり奇声を上げる女王様。なかなかご立腹の様子。どうやらいきなり挨拶から女王様の怒りゾーンにヒットしてしまったようです。もうね、アレだ。これから始まる2時間は、俺を微Sから完全なるMに変えてくれるに違いない。ハイヒールで踏まれないと体が悦びを覚えなくなるであろう。

「座って」

椅子に座ると、俺たち奴隷たちに「座れ」という命令を下した。いやぁ、一流ホテルの研修は厳しいだろうなって相当覚悟してたけど、自事態は思ってたよりも大変だった。まさか教育の域を超えて調教になるなんて思ってもいなかったぜ。

2時間にわたる挨拶の調教。体を30度傾けたまま「ここが違うわ!」ってキンキン声張り上げてからだのあちらこちらを痛めつけ楽しむ女王。やばい、Mの快感に溺れるかもしれない。こんなディープなひと時を過ごすとはマジで驚いた。

「お客様への誠意が感じられないわ!!」

どんどん熱を上げる女王。ボディーランゲージもどんどんヒートアップ。でもって俺たちへのサドプレイもパワーアップ。そろそろ鞭の一つでも出てくるんじゃないかってくらいにボルテージも上がってゆく。


挨拶研修終了。

本当に2時間ってのは長い。こんな濃厚でディープでありながら、ここまで2時間が長いとは。

着替えの時にロッカーのキーを渡された。ロッカーのキー・・・むむ。もしやこれって!!

着替え室に行くとなんとまぁ俺様の俺様による俺様のための俺専用ロッカーが用意されてるじゃありませんか。俺専用ですよ俺専用!憧れてた俺のロッカー。

NHKの外国のドラマなんか見てたらね、アメリカの学校って自分専用のロッカーとか持ってるじゃないですか。ロッカーで次の授業の用意なんかしてたら「ハ〜イスティーブン!」とか通りすがりのナイスな金髪美女が手を振ってきて、ある日はクラスの怖そうな友達が「おい。ちょっと面かせや」みたいなこと言ってきてそれを俺がスパイダーマンみたいにボコボコにしてやっつけて回りの野次馬が「おうさすがスティーブンだぜ!オメェならやってくれると思ったぜ!」っとかそういったイベントがおこりまくるんですよ。

そう、俺はこういうのに憧れてた。全てのイベントはロッカーに始まりロッカーに終わると定義するんですよ。それくらいに憧れていたロッカーを俺はついに手に入れたのです。サラリーマンとか企業に出る前にアルバイターの時期から手にした栄光のロッカー。

ルンルンでロッカーを楽しむ。今回はイベントは発生しなかったが、更衣室を出ると今度はなかなかナウでヤングなボーイの兄ちゃんが登場。「はじめまして!教育係の実は結構下っ端な山崎です!ヨロシク。」

ホテルの社員の設備について説明を始めた。しかしこのホテルマジで一流だ、今更言うのもあれだが俺って絶対に場違いだと思う。

食堂に行けばOLたちがお昼過ぎのティータイムを楽しみ、休憩室ではサンドウィッチなんかをかじる婦女がおあついトークをしている。サラリーマンな野郎も部長にヘコヘコついていきながらまさに会社ライフを勤しんでるんです。マジでありえねぇ。

なんだ18にして会社のど真ん中みたいなところに来てしまったのか。ここは完全なる会社の内部だ。会社そのものだよこの雰囲気は。現におれだってカッターシャツに黒ズボン。でもって髪の毛も完全に真っ黒で無理矢理シチサン。ホテルに来る時だけこの服装なのだが、完全に俺は会社員として溶け込んでいる。どこまでも俺は会社人をやっている。

他にもクリーニングから仮眠室その他モロモロ一種の街みたいなものがたかが一階層のなかにぎっしりつめこまれている。すごい場所に俺はアルバイトしてしまったもんだ。部屋とか入るたんびに社員専用カードキーみたいなのを差し込んで「ピコーン」とか言わせたりするんです。

俺ともう一人の浪人生っぽい男とそのヤングな男は、食堂などいろいろな場所を廻り会社員気分を存分に満喫した。人生初めての会社員はこういった形で成された。


そして研修全て終了。

浪人生っぽい男は俺に言った。「じゃあな」って。ごく普通にじゃあなって言い払う。

俺もいつものバイトの癖で、「お疲れッス」って言う。そしたら浪人生の野郎。最後だということをいいことに俺にとんでもないことを言いやがった。


「お疲れッス。ってオメェ、キムタクのパクリか?アハハハ」

ちょっと待て。オメェこれだけは許せねぇよ。最近木村やらなんだかわかんねぇが、グットラックとかいうわけのわからんパイロット物のドラマのせいで「ぶっちゃけ」って言葉がだいぶ流行ったらしいな。しかしこれによって以前からぶっちゃけって言葉を使ってた多くの書き物系サイトの野郎どもが「ぶっちゃけって言葉使ったら流行語使ってるぜあの野郎!全く尻が青いガキだな」ってからかわれそうでいやだよってすごく迷惑している。

はっきりいってね、昔から流行ってたんですよ。本来「洋服の青山」とかあのあたりの関西系のCMではぶっちゃけなんてことばは常用単語であり普通に使われる普通の日本語やってたんですよ。

でもね、木村なんとかとか言うやつのせいで以前のようにぶっちゃけを使えない。ほんとフザけてる。流行を作ったつもりか!ホント許せない!俺たちのぶっちゃけを返せ!って怒り狂ってたんですよ。

しかしまぁ、これくらいで俺も怒りを露わにするなんて大人げない。そろそろ凄い男になるかもしれないヒロさんがこの程度のCクラスパクリで怒りを胸に拳を震わしてたら凄い男も名ばかりだと民に腹笑われる。

だからね、だいぶその怒りは静めたんですよ。いいよ今回はぶっちゃけって言葉は木村さんにプレゼントしてやるよってだいぶ楽に至るくらいまで怒りを静めた。だが!

「お疲れッス」これまでパクリ扱いするとは何事だ。お疲れッスなんて男子校では普通だぞ。挨拶でオス!って平気で通ってた世界だ。そんなせかいでお疲れ様ですってどこかのお姫様みたいな言葉を使ったらナメられるもいいところだ。

ごく普通の日本語だ!ごく普通の日本語を俺はやったつもりだ。別に意識したつもりなどどこにもない。流行語を使ってちょっと新しい先を行くヒロさんを見せてやろうとかそういう邪心など胸に秘めて使っていない。俺は普通に挨拶というなの日本語を利用した次第だ。

それにもかかわらずパクりだ!?オメェあれか。なんでもパクリって言ったら面白くなるとでも思ったか?こんな普通な言葉まで流行り言葉扱いされたら俺は普通の日本語なんかつかえねぇじゃねぇか!

いっとくが俺はこう見えても小さなもんだが書き物書いてるHPをやってる、まぁ最近は更新あんまりしなくなったダメHPかもしれないが、書き物をやってる。日本語ってやつを書いてる。

そんな俺からいってみる。「お疲れッス。」これまでパクりにするとヤバいんじゃないか?ヤバいなんてもんじゃねぇぞ。松浦あやのプリッツのCMよりもヤバいぞ。とんでもなく世界を震撼するくらいやばいぞ。このままでは普通の言葉喋っててもパクリパクリ扱いされるぞ。

未だバックが黒いだけなのかオーラが似ているのかわからないが、有名HP「将軍屋」やら「侍魂」に未だ間違えられるパクリパクリと呼ばれ続けた俺のHP人生。パクリと呼ばれるほど異様なまでの屈辱と感じるようになった俺が、そんなそこら辺の言葉でパクリと呼ばれたのだ。

許せない。マジで許せない。

日本語をコケにしやがって。畜生。

そういうわけで、俺は不機嫌極まりないままに自転車転がし家に帰りました。もちろん空は雨。ありえないくらいの痛い系日和なわけで、土砂振りの中「畜生畜生」って唱えるように帰ったのです。

もちろんこんな風に愚痴ってる愚痴りぃなヒロさんを見て相変わらずこのHPを見てくれてるごく小数の婦女たちは、風呂上りバスタオルを羽織ながら、今度はレモンアイスティーなんかをすすりながら指差して笑ってるのだろう。いいよ。マジこればかりはもう笑ってくれてもいい。

これからはパクリって呼ばれても気にしないで書くことにします。