正しい好青年とは

2003/03/04

男だったら絶対にわかるはず。オナニーをする時間が無いくらい危機迫った状況を。

俺は耐えた。必死の思いを胸に耐え続けた。オナニーをしたいけど時間ないし、だからといってセックスしたいけど相手がいない。こんなに性欲と言う名の本能に苦悩したことなんてあっただろうか。かつてあっただろうか。

そう、まさに俺はフレッシュボーイの最高峰を目指していた。

毎日「野菜生活100」をモリモリと飲み続け、健康に生き、フレッシュに生き、癒し系に生き、何にとっても俺をフレッシュと呼べねぇ部分などなかった。どこにもなかった。

最初は敵だったはずのピッコロ大魔王がいつのまにか悟空の仲間になっていたように、周りの人間全てに俺のフレッシュビームをばら撒き、周りを取り込み、周りを和ませ、周りを癒し、俺のフレッシュっぷりといえばもはや社会現象にもなっていた。

未だかつてここまでフレッシュに生きた男はいただろうか。俺みたいな好青年なんて絶対にいない。絶対だ、断言しておこう。

しかし彼らは認めなかった。俺が好青年だと認めることはできなかった。

彼らには俺のフレッシュビームを受信する能力が無く、この世で唯一俺の癒し系オーラと波長が合わない人間なのだ。そう、彼らだけは普通じゃなかったと。

普通の人がAMラジオだったとすると、彼らはFMラジオで受信しようとしているようなものだ。そんなもんあうはずが無い。どう考えても会わねぇよ。なぁ・・・・・・


ゲームセンターの面接のオッサン。


どうして俺を落としたんだ。どうして俺が採用じゃなくて、面接官のおっさんの隣にいた口ピアスとかしてる怖そうなヤンキー兄ちゃんが合格なんだ!ありえない。なんでだ!言ってくれよ面接のオヤジ!

どんだけ辛かったか!辛くて辛くておちおちオナニーすることもできないくらい俺は荒行に耐えたんだぞ。フレッシュという名の荒行に。

俺は今完全なるフレッシュボーイであって、これ以上に印象のいい好青年など絶対に存在しないのだ。俺を落とすと言うことは、世の中の全てのフレッシュボーイを否定することになる。わかるか面接官??

そもそもゲームセンターの面接を受けに行くまで俺はどれだけドキドキハラハラな旅をしていたか。

酒を飲んだおっさんには自転車の前で通せんぼして煽られたり、赤いスカートはいてる女のスカートの中を嫌でも見せられたり、あきらかにヤクザなオッサンが俺に「ちょちょちょ♪いい感じ♪ヘルスクラブでいい感じ♪」っとか言いながら勧誘しまくったり。

もはやありえないくらいの風俗街、そんなど真ん中にゲームセンターがあるわけだ。素晴らしいポジションにゲームができる素晴らしいゾーンが開発されていると言うことだ。

もし俺がどうしてもそのゲームセンターに言ってビートマニアだかビーチマニアだかわかんないがちょっとステキなゲームがやってみたくてたまらなかったとしても、絶対にあのよっぱらいと、あの赤いスカートと、あのチョチョチョのオッサンにご対面しないといけないのだ。

ありえない。もう俺は一生ゲームできない。泣きながら断念しなくてはならない。しかし今回はアルバイト。アルバイトだったら俺はこんな輩3人組も目をつぶる、ちょっとくらい野党に絡まれても全然ガマンすると言ってるのだ。それにもかかわらず俺を落とすのか、こんな気合の塊のヒロさんを落とすなんて間違ってる。絶対ありえない。


わかった。もうわかった。

男ってのは過去をいつになってもウジウジと引きずってはいけない。男ヒロさんは諦めもきっぱりする。


まぁ今回バイトに落ちたわけなんだけど、はっきり言ってこれって仕方なかったんですよね。マジで。

ちょっとばかし都会な町柄、ひとつのバイトに沢山のヒトが群がる。物凄い勢いで。

ちなみに前回受けたアルバイトは、「ありがとうございます、もう少々お待ち下さい。すぐに面接の日程を連絡させていただきます」とか言いながらいっこうに電話かかる様子無し。

もう少々とか言いながら一ヶ月まってるんですけど。おいローソ○。あんた人をナメてるのか。

こんな調子が続いて面接にすらもたどり着かない。面接を受ける権限を手にするだけでもかなり大変なわけです。

だから今回こうやって面接ができたということは、実はかなり凄いことなのです。面接ができただけ奇跡。


にしても、このままバイトがきまらないのはマジで困る。そろそろ人間的生活だって危うい。

だからそろそろ俺も数打ちあたる作戦に出ようと思うんです。むしろ数打ち当たらせよう作戦とでも言おうか。

だいたい俺って受けるアルバイト一つ一つに信念持ちすぎたんだよね。このまま受けたバイト一つ一つに熱くなってたら体持たないって。

面接されるバイト先としては、少しでもわが社に一直線であって、それに加えてすぐにでも即戦力になるような人材が欲しい。できれば履歴書のその他の欄に「俺実は即戦力なんです」って書いてくれるような素晴らしい即戦力が欲しいわけですよね。

俺もアルバイターとしてはまだまだ未熟な見習い野郎。したがってとてもじゃないが堂々と「実は俺即戦力なんです」なんてかけない。嘘八百が普通の履歴書の世界とはいえ、そんなことをすること自体俺のこのナイーブ極まりない心に反するわけですよ。

だから俺は違った意味で戦う。連続5回面接の一つでも受けてやろうじゃないか。

なにわのフレッシュボーイなめられたもんじゃありませんよ。会社の考えなんかどうでもいい、とりあえず面接を受ける。そして受かるまで俺はめげない。

俺言いましたよね。たしかに今言いましたよね。公に言ってしまったんです。もう実行に移すしかないでしょう。

次回の鰹節の心は、ヒロさん5回連続面接。

当然ここは男ヒロさん、全部合格。もうね、みんな俺の素晴らしさに気がついてその価値の高さをスパパパパンと評価しまくるんですよ。

でもってあとで俺を落としたゲームセンターの面接官が後悔するんです。俺はなんでヒロさんという素晴らしい人材を落としてしまったのだろう。あの時彼を採用していればわが社はかなりの利益になったかもしれない。彼のような真人間を見抜けない自分が悔しい。本当に悔いだ。

採用した5つの企業は俺の取り合いがはじまる。ヒロさんはわが社の物だ!わが社が採用したのだ!っとみんなで俺をとりあって時給とかオークションでモリモリ賃上げ。

困ったなぁ。俺って人気者だから困るんだよなぁ。参っちゃうよ。アハハハハ。


さてこんな妄想話もそこそこに、そろそろ俺は晩飯の芋でも蒸そうと思う。本当はバイト無くてお金なくて駄菓子も買えないわびしい俺なのに、妄想とかわけのわからんもののおかげで無駄なカロリーが消費されてると思っただけで実に悔しい。

もういいや。それではお粗末。

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