卒業旅行
2003/02/11
先輩が俺に言った。「そういえばヒロ君。卒業旅行とか行かないの?」
卒業旅行。そっか、卒業にはそんなイベントがあった気がするな。まあでもうちのクラスはそういった粋なことするような奴はいないしな。
結構冷めた奴らばかりだし、それになんか一応進学クラスなんか知らないけど受験とかに燃えまくり。友情も表向きだけの薄いもので、本当に芯からの友達ってのがいない。進学クラスの人間ってのはみんなこんなヤツばかりなのだろうか。
そういえば高校はいい友情無かった。こう、みんな御堅いというか、考えの合うヤツがいなかった。俺みたいにバカしてくれるようなヤツがいなかった。
そんなこと考えて想いにふけてた時、ふと思い出したんです。中学時代を・・・
中学3年の最後、俺たち4人は計画をたてていた。それはもう純粋な物で、小学生が秘密基地をつくって遊ぶような夢のある計画。
当時「電波少年・雷波少年」などで、ブルームオブユーズという冴えないバントに旅をさせて、マジな男に仕上げてCDデビューをさせるというかっこいい企画なんかが流行っていた。
ギター片手にロシア横断。なんて浪漫溢れる野郎たちだ。かっこよすぎる。
もうね、こういうのって男の浪漫だと思うんですよ。大人も子供も関係なく、夢を追っかけて異国の地をさまようその姿は男の中の男でありそれにトキメキを憶えるのはなんの不自然も無い。冒険って言葉が好きなんですよね男は。特に中学生思春期まっさかりの俺たちはあんなかっこいい物を見ると憧れを感じるわけなんですよ。
「俺たちもあんなことやりたい!」
4人の意思は固かった。ギターとかバイクとかそんな洒落たものなんか持ってない。でもそんなことなど関係なかった。冒険、その言葉だけで十分だった。それ以外に何も求めない
見たこと無い場所をその場その場で冒険して、好きな場所で寝て、好きな場所で飯くって、好きな場所でウンコする。ただそれだけ、何にも縛られない完全なる自由という冒険をしたかった。
この当時中の良かった4人組。どこ行くにもこいつらがついてきていた。甲子園で野球見に行くぞって時も何故か全員でワンセットだったし、サギなラーメン屋でまずいラーメン食ったときも何故か4人とも全員いて「まずいまずい」と連呼しながら食った。
なんだろうか、こいつらとならいくらでもバカやれた。バカが一番だとおもう俺は。何にも考えず適当にバカやってるのが一番楽しいとこのとき思った。
計画も段々現実の話に変わっていき、向かう先は淡路に決定した。淡路島を歩いて一周してやろうじゃないかと。
ハタから聞いたらちっぽけで情けない冒険に聞こえるだろうが、中学時代の井戸の中のかわずやってたバカ4人組にはそれはもう壮大なるビックプロジェクト。淡路島を一周なんてありえない。世界地図でもちゃんと場所わかるようなデッカイ島を一周するなんてはたしてそんなことがありえるのだろうか。
まずその冒険の為に、資金をためることにした。淡路に行くには、そこまで定期的に走ってるバスがあって、とりあえずそれに乗らない事にはプロジェクトのプの字も完成しない。異国に行くには金がいるのだ。
俺たちみんな必死に働いた。それぞれ資金集めに。もうね、中学生の俺たちに1万5千円なんか大金で大金で。そんな大金あったらエロ本15冊くらい買ったほうが絶対いいとか考えてしまう尻の青い俺たち。でもプロジェクトを実現するためには精進の一つくらいやらねばならない。オナニーと冒険どちらが重要なんだと。
必死の想いで2万弱かせいで、いよいよその日がやってきました。2万とかまじでありえないとか思ったけど、なせばなるもんだと実感。
バスに乗る前に、まず寝袋を入手することにした。寝袋が無いと、寝ることができない。春休みの丁度温かくなったくらいの時期だといえども、夜はまだまだ寒い。裸で寝たら絶対風邪ひく。
当時流行っていたアウトドアライフの影響で、4人のうちの一人が寝袋とかテントとかいっぱい持ってた。出発前に寝袋を手に入れて俺たちの是非ともブルームオブユーズだ。
カラフルで実にフランクなラインナップの中から少し古ぼけた寝袋をチョイス。
バスに乗り込んでからはテンションあがりまくりあがりまくり。乗客いるのにチンコとか生開放するヤツもでてくる。うん、やっぱり類は友を呼ぶって言うがまさにそれだな。変態が変態を呼んだんだきっと。
そんなこんなで一瞬にして淡路に到着。
高まる鼓動と共に、俺たちバカ4人は異国の地へ降りた。これから色んな試練が待ってるに違いない。突然輩に襲われてボコボコにされるかもしれない、獣なんかが現れて焼いて食われるかもしれない。何語かわからない言葉で俺たちに話しかけてきて、高額な買い物なんかをさせられるかもしれない。
冒険の始まりは重要。ドラクエ3でもこれから冒険するというテンションを高めるのもやはりお城の王様だった。そう、これははっきりいってこれからの冒険の4日間の旅の行方に関わってくる。こんな重要なスタート。そんな時俺たちは・・・・
バス停の近くでうどん食ってました。
一時間後・・・・
バス停の近くの販売機でたむろしてました。
一時間後・・・・
本屋で立ち読みしてました。
ああ、俺たちの旅はこのまま終わってしまうのだと。俺は最初の3時間にして悟った。こいつらといて絶対ブルームオブユーズのような青春的イベントは発生しないと。おそらく3日ずっとうどんくって寝てるようなグーたらな旅になるのだと。
しばらくして一人が言い出した。
「あのさーそろそろ歩かない?」
「は?なんで歩かないといけないの?ダルいし。」
ちょちょちょちょちょちょっとまて!お前ら一体何をしにここまで来たんだ。何のためにオナニーガマンして15000円も貯めたんだ。
そもそも旅の目的は歩いて一周だぞ。島を一周するんだぞ。絶対こいつらナメてる。島をナメてる。
4時間くらいしてやっとこさスタート。ちなみに時間は夕方5時。1時からスタートのつもりが5時からスタート。ありえない。こんなの絶対ありえない。
なんだろうか、俺は男の浪漫と言うやつを高く買いかぶってたのだろうか。散髪できないから髪の毛は伸び放題、食い物を買うかねが無いから体はガリガリ。そんななかでもひたすら夢に向かって瞳を輝かせたブルームオブユース。
しかしそんなハングリーな心の欠片もないコイツらにはムリだ。絶対無理。スタートしていきなり450円のエビうどん食った時点でお前ら完全にこの旅勘違いしまくってる。なんか手に持ってる寝袋がただの荷物みたいに感じてきた。
可愛い子には旅をさせろという言葉を聞くが、なんだ、今の旅ってのはこんなもんなのか。うどん食って立ち読みしていいたびを満喫するのか。第一なんでわざわざこんなところにきてまで立ち読みするんだ。月曜日なのにジャンプ発売してないことに無駄に腹立てるなよ死ね。
まぁそんなことはさておき、だいぶ赤い空になってから焦ってスタート。
例えるなら、夏休み最終日の前日に焦って宿題する小学生の気分だろうか。到着予定の場所まであと4時間。到着したら夜の9時じゃねぇか。
遠足気分でワーワー言いながらスタートを切る一行。一時間後。
当然無言。誰も語らず。熱い男の浪漫というのはこんな物だったのだろうか?
現実に戻った気分だった。2時間後には喧嘩が始まって完全に二つに分裂した。歩くことに疲れてイライラを感じて、余計にゆがんでいく4人の友情。
3時間もたてばすっかり犬猿の仲でした。俺はちなみに、登山フェチというのもあって歩くのは大好きだから疲れようとなんであろうと関係ない。ってか3時間歩いただけでオメェらバテてんのか?死ねって感じだった。
何を隠そうヒロさんは、小学生登山教室でS級のライセンスを取得した小学生登山のプロフェッショナルだったのだ。(マジでS級持ってマス。)
D級からスタートしてC、B、A、っといった具合でどんどん上がっていき、最後は一泊二日の過酷なる登山ツアーに参加。最も過酷だといわれてるA級を習得した奴らですらも、Sは過酷すぎて終わった時には半分に人が減っている。それを乗り越えた奴らはまさにマジな登山野郎なのだ。そのなかにヒロさんはいた。関西でも毎年50人くらいしか出ないS級をヒロさんは持っているのだ。
カリスマ登山小学生ヒロさんは歩くのが大好きだった。
今は?うんもう無理だな。ありえない。多分山とか100メートル登っただけでハァハァ言ってると思う。でも、当時中学校だった俺はS級はもう無理でも、まぁ並の中学生よりかは歩くことは強い。それもあって全然疲れ知らずな俺。歩くの楽しくてたまんない。
疲れて喧嘩ばっかりおきる俺たち。とうとう動けないとか言うやつがでてきて、一同の足は止まった。本当に芯のない奴らだ。
「あのなー!歩いてる途中に一回でも足を止めたら疲れが一気に来るもんだぞ。だから人間動意(団体で登山する時、別れ道なんかでどっちに曲がったか教えるために、先頭の人が曲がり角に立って後ろの人が来るまで待って方角を教えるまさに登山家の知恵)してても絶対座っちゃいけないんだぞ。オメェら絶対ナメてただろ。」
「うっせーな!俺は疲れたんだ。疲れたのに座って何が悪い!」
見事知的なところを見せた俺の言葉をぶった切られる。もうアレだね。こいつら冒険ナメてる。
4時間たっても到着しなかった俺たちは、真っ暗な暗闇の中かなりビビってた。怖い、真剣に怖い。
海の向こうに見えるのは神戸の夜景。深田京子がCMで言ってたハーバーランドってのはあれなんだろうか。正直マジでピンチとなった俺たちは、友達の一人が持っていた「本当にピンチになった時の連絡先」ってのに電話した。
古ぼけた公衆電話で、ピンクな広告一つ張られていないその狭い空間に4人が肌を寄せ合って密集。肌を寄せ合って。
その友達の親戚らしく、本当だったら二日目に到着してそこに泊めてもらう予定だったのだが、生命の危機感じた俺たちは一刻もの事態。幸いにも田舎なポイントじゃなかったので、そこそこに明かりはあるのだが、車ばかりで人が通らない恐怖の工業地帯だった。
30分もしないうちに車が到着。30分車にゆられて親戚のおばさんの家に速攻到着した。ほんらい2日かけて行くはずだった道を簡単に30分で到着。俺たちの冒険って一体何なんだろうか。
まず何のために歩いてるのだ?車で30分の道を何のために2日がかりで歩いているのだ?正直俺たちはバカだろ。
そんなこと考えながら俺たちバカ4人組は、ゴージャスにも焼肉なんか食っていた。親戚のおばさんの家は焼肉屋だったらしく、焼肉食べ放題だ。俺たちはなんて幸せなんだろう。ブルームオブユーズはあんなに食い物に困ってたのに、俺はここでこんなに飯食ろうていいのだろうか。
やきにくが終わると、次にビビンバまで到着。ご丁寧にもビビンバまで到着。うわー、この冒険マジでありえない。
腹いっぱいになったあと車にゆられてコンビニに到着。弁当をおばさんが大量に買い込む。それを俺たちは怒涛の勢いで腹に詰め込まないといけない。
弁当を食った後運び込まれたのは、大量のおやつ。5袋くらいアメリカのスナック菓子みたいなでっかい袋に入ったのがモリモリと運ばれてくる。
いや、俺たちは困ってる、明らかに。食いたくなくても食わざる得ないという最高の苦しみに。
その日俺たちはすぐに寝た。歩いて疲れたらしく。
次の日の朝飯は2つあった。味噌汁とご飯と焼き魚。それが終わると次に部屋にカルビ丼がモリっと運ばれてきた。ご丁寧にも4人分。
食い盛りな俺たちを考慮してくれてか、昼飯も2つあった。寿司をおごってくれた挙句、コンビニで大量のおにぎり12個。パン5つ。吐きそうだ、マジで吐きそうだ。この苦しみをなんと表現しようか。
昼間俺たちは釣りをした。魚?そんなものは一匹も釣れていない。なんか太公望みたいに、釣りをしているっていうあの雰囲気を楽しんでたんです。でもってみんなでたわいの無い話でもりあがる。魚なんかマジで釣れやしねぇ。
変におもりとか変えたり、エサとか変えてるけど全くかからない。海が綺麗なので、魚もそんなに釣れるわけではない。そんなことは多分暗黙の了解でわかってたけど、もうこの旅行を最後に会わないヤツだっているかもしれないから。
俺たちバカ4人組は、全員違う高校へ進学がきまってた。電車も全く違う方向。これから先みんな別々の人生を歩んでいく。もうみんなと同じ線路の上を歩くことは無い。こうやってわいわい騒ぐこともそんなにできるもんではない。
魚のいない海にむかって空が赤くなるまでずっと釣りをしていた。最初から歩いたりしなくても全然よかった。俺たちにはこういう無駄なことが一番似合ってる。バカは無駄なことやってるときが一番楽しい。
夕方がすぎて日が消えかけた時、釣りを引き上げておばさんの家に戻った。そこから俺たちの戦いは再び始まった。
誰も注文してないのにどんどん牛肉がやってきます。誰も食べたくないのにビビンバとか4人前やってきます。いや、けっしてマズイわけじゃない。むしろここの焼肉は超一流だ。
しかしいつになっても止まらないその肉。「おばさんありがとうありがとう!」何度もとめるが聞きやしねぇ。
焼肉が終わると一同は、昨日と同じコンビニへ。誰も断れない、親切に家に居候してる分際で親切を踏みにじることなんて誰にもできない。
親切にも弁当4杯と、おにぎり8個、スナック菓子4つを買い込んで家に。
もちろんそれを処理しないことには明日笑顔でおばさんにおはようを言えない。ゲロはきそうなのを真剣にガマンして全部食った。なんだかんだ言ってこの日7食食った。一日七食だぞ。この家に生まれたら、きっとパパイヤ鈴木みたいになるに違いない。
その日の夜、友達が言った。この家のおばさんの息子は、家の目の前の道路でトラックにひかれて死んだらしい。
たしかに家の前は道路、下手したら家のドアの50センチ先にトラックが通過とかするようなありえないポジション。
その息子さんが生きてたら、俺たちと同じ年だったらしい。おばさんは俺たちに自分の息子を重ねてるのだろう。もし生きてたら食い盛りな時期だったであろう自分の息子に、お腹いっぱい物を食べさせてやろうというおばさんの真心なのだ。
みんなかなしそうにその話を聞く。すると一番せの高いぶたごりらみたいなタイプの友達が言う。「よし!俺たちが立派な息子になろう」
次の日の朝はもちろん一発目からカルビ丼だった。こんな生活毎日おくってたら、息子は絶対俺たちみたなサイズじゃない。絶対パパイヤ鈴木くらいのジャンボサイズだ。心臓とかメッチャ血管狭くなってそう。コレステロールたまりまくって。
朝昼兼用の飯とか言ってる割にはいなり5食も食ってる俺たち。寿司も食ってファミレスにも行って。おばさんは微笑みながら黙ってアメリカンコフィをすすってる。もちろん俺たちはなんとしても胃に物をつめこむ。この笑顔は二度と忘れない。
この日も釣りに来ていた。なんだろうか、俺たちは釣りをするために淡路にきたのだろうか。海は綺麗だし、夜空も綺麗。空気だって最高、しかし魚は釣れない。釣れやしねぇ。
いや釣れても釣れなくてもどうでもいい。っていうより釣れるところなんていくらでもあっただろう、でも関係ない。一種の語り場みたいな間隔で釣りをしていたから。魚など誰も求めてない。
その日も晩焼肉だった。冷麺まで出てきた。最後の晩はもっとゴージャスにというおばさんの温かい真心。一日七食の生活にだんだん慣れてきた。もうね、日記書いてる今でも当時を思い出してゲロ吐きそうになってる。
その日の晩、俺たちはテンションが高かった。修学旅行の最終日の夜は、普通疲れてるはずなのに何故かテンションが最高潮に高い。まさにアレだ。
大富豪と王様ゲームを合体して、チンポ出しながらやってるやつもいる。男だけで王様ゲームほど情けないものは無い。
テンションが上がり、猿みたいなタイプの仲良しマンな友達がついに自分のアナルを公開し始めた。だれも求めてないのに勝手に公開しやがった。ケツ毛とか直視させられた。
いやーまさか卒業して最後の最後に、友達のアナルなんか見る羽目になるとは思いもしなかった。このアナルも一生忘れない。そのあとちんぐりがえしのかっこで屁をこくその姿の優雅さといえば何に例えようか。美しい
そのあと屁の勢いで実まで発射された。ウサギみたいなカサカサのウンコがポロンと畳に転がる。ああおばさん、あなたの親戚の息子さんは、人様の家でウンコ畳に転がしてますよ。いい親戚さんだ。
次の日、俺たちはバスに乗った。今日でさよならだ。
お客さんが来たというのもあって、わざわざ遠い「香りの村」なんていう銭湯に行ってたのだが、もうあそこに売ってる牛乳を飲めないと思うと悲しくて悲しくて。
でももっと悲しいことといえば、あのおばさんの悲しそうな姿を見ること。毎日ビビンバをゴチソウしてくれたおばさん。もうあなたのビビンバを胃に詰め込むことはできないんですね。
一時は内臓に物が詰まりすぎて、このまま俺の内臓はソーセージになってしまうのではないかというくらいめちゃくちゃ吐きそうだった。しかしそこまでして俺たちを可愛がってくれたおばさんとはもうさようなら。
なんか切ないね。ブルームオブユーズなんかよりもずっといい冒険した気がしたよ、そのおばさんの悲しそうな顔を見てるだけで。
見えなくなるまで俺たちは手を振った。もう会えないのだと。あの焼肉も食べられないのだと。
世の中は広いようで狭い。もしかしたらネットというものを通じてこの文章がおばさんのもとに届いてるかもしれない。もし見てたとしたらおばさんにこう言うよ。「俺たちにいい卒業の思い出と、真心をありがとう」と
ちなみに家に帰って体重計にのったら体重が4キロ増えていた。この増えた体重分だけ、俺にいっぱいの愛情を注いでくれたんだと、そう思ったら痩せられなくて痩せられなくて。言い訳しちゃうくらいに
そのおばさんにお礼の手紙を送ろうと母は言ったのだが、その家は住所が広い地域にあるらしく、手紙なんか届くのかすらもわからないらしい。つまりもうアレが本当に最後だったのだ。
ちなみに彼らバカ4人組のメンバーともアレ以来会っていない。たまに街角で見かけたりもしたが、もう以前のように気さくに語り合ったりすることは無いだろう。高校が人を変えて、人間関係すらも変えてしまった。
俺は正直、いつまでもバカしていられる友でいたいとそう切望していたが、みんなはもうすでに遠く離れて行っている。
俺は、きっとあの日と変わることなくバカできると思った。しかし彼らは変わっていた。そのとき、俺一人この高校生活何一つかわっていなかったということに気がついた。
昔と今。たしかに人間は変わった。けど、みんなの心に眠るあの4日の思い出。これだけは絶対変わっていない。想い出は変わることなく残る物だから。ゲロでそうなくらい食った焼肉の味。目に焼きついたウンコポロンの思い出。
それを忘れるのではなく、その思い出を持ちながら人間変われたらいいなと俺はいつも彼らを見たら思ってしまう。
そんな卒業旅行15歳でした。
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