一夜の恋

2003/02/05

実はあたし女なのです。

って言っても誰も信じないでしょうね。ここまで毎日変態ムラムラな日記書いてる俺が今更女だったなんて言っても誰も信じないってありえないよマジで。

オンラインゲームって知ってますかみなさん?ってか誰だって知ってますよね今時ネットゲームって言葉知らない人なんているはずが無い。説明はめんどくさいから省略しときますよ。

今オンラインゲームに出てくる女性キャラクターの8割は実際男だと言われてます。たしかにありえないですよね。あんなに女で溢れているなんて普通に考えておかしい。「怖いよぉ〜♪」とかいいながら実際モニター前にオッサンがハァハァしてるってオチなんですよ。

そこに今回俺は目をつけました。もうね、男であることに悦びを喜びを感じる俺にとって女キャラを演じるなんてありえない。そういうズルをする人には鉄槌の一つくらい食らわせようとかそんな風にしようかと思ったんですが。

俺はネカマは実は反対じゃないんです。ってかみんな考えろよ?ネカマほど女らしい女はいないぞ。真剣に。リアル女よりもリアル男の方が完璧な女をやってるわけよ。普通の男なら胸トキメクような女をやってるんですよ実際。

でもって実際女なのに誰にも相手にされない悲しいことが主。

なんたって男は男心を知り尽くしてますからね。何を言われたら嬉しいとか何をされたら喜びなのか何を言われたら萌えちゃうのか全部わかりきってるんですよ。したがって完璧な男をつかむ女をできるわけです。ズルだけど彼らのおかげで少しはネットゲームに華を添えてるのかもしれない。

しかし許されないのは、これをリアルにまで引きずるやつ。自分は実際男なのに女のふりして男に会いましょうなんて言って実際にあって「男だったんだぜ俺は。バーカ」ってあざ笑うヤツ。まずお前が死ねって言いたい。

だからネカマはネットだけにして欲しいんです。

でもって今回なんで俺がこんな変な話を始めたのかって言うと、俺もネカマに挑戦してみようと思ったんですよ。

実際ネカマをやって男を愛するとかそんなんじゃなくて、理想の女ってヤツを実際に演じてみて完璧なるトップなる女帝を目指してみようと思ったんですよ。男ラブじゃなくて、男にモテる女ナンバーワンになってみたかった。ナンバーワンが欲しいのだ俺は。

実際変態の度が高い俺の理想の女性像というのは世間ではどれくらいに評価されるのだろうか。

将来娘なんかが生まれた時に、「女らしくしなさい」って生まれた時に、「じゃあ女らしくってどういうことだいファザー??」って言われたら実際何をしたら女になるのかわからねぇ。自分の中で完璧な女というのを確立してみたい。

ってわけで挑戦してみました。


まず設定ですが、俺は大変ロリータなんです。ロボコンをロリコンって読んでしまうようなロリーたなので、当然萌える設定としては高校一年生をチョイス。「あたしネット初心者だからわからなぁーい」な喋り口調で男にささやこう。

ちなみにネットでしゃしゃり過ぎる女性はモテない。何故ならネット上の男性は女性経験の少ない薄男性が多いからだ。女性経験の少ない男性は自分の女の理想ってやつが現実みれてなくてありえないくらい高く設定してあるんですよ。

昭和の花嫁のように後ろに黙ってついていくタイプで、おしとやかで、処女以前に男性とお付き合いなんかもしたことなくって、髪の毛は黒ですね。汚れがない黒を望みますよ彼らは。身長はだいたい155前後がベスト。天然ボケだとなおさらOKです。

高校生なのに全然高校生っぽさが出てない感じだとよりいっそう男たちは萌えてくれるでしょう。生娘好きなネット男どもにはサービスとして、「わぁー凄いですねぇ。」「先生ですよ。難しいこといっぱい知ってますから」などの格上げ言葉を使う。

もちろん喋り方は敬語。男ってのは持ち上げられるとかなり悦びを感じるようですからね。あいてがたとえリアル厨房でも敬語で目上の人に語りかけるように、先輩ツラしてきたら作戦成功といえる。

説明好きなんですよ男は。でもって「ええーあたしバカだからわかんない」みたいな言葉を言ってくれるのをどこかで期待してる。もちろん「先生すごーい」くらいまでダイナミックに言って男を喜ばせてやりましょう。

胸はそうですね。平均をとってCにしときましょう。まぁここまで聞いてくるやつはいないでしょうが、いつ聞いてくるかわからない質問なのでちゃんと用意しておきます。準備は手を抜いてはいけません。

ちなみに職業なんですが、世の中のエロビデオに看護婦がヒットしてるように、攻撃的かつ先等をきるような刺激のある女は友達で終わるのがオチです。当然ながら白魔道士とか僧侶とか聖職者などのいわゆる回復魔法を使って援護にひたすら徹する癒し系がブームです。

しかしまぁ、実際に癒し系をやるのはいくらなんでもキツイものがあるんで今回は戦士とかありきたりなものにしておきましょう。


さぁ、ネカマの準備はできました。さてヒロさんは完璧な女を演じられるのでしょうか?


おっといけない、名前をすっかりわすれていた。こういう名前は「セーラームーン」みたいな現実からあきらかに外れた非現実をチョイスすると逆に相手に引かれてしまいます。庶民のアイドルを目指すヒロさんにとってセーラームーンは大敵。絶対さけて通らなくてはなりません。

普通の名前ですよ普通の名前。とりあえず早急にメールボックスを開く。女性読者さん申し訳ありませんと心で念じつつ頭文字がSの常連さんの名前をピットアップ。リアリティ溢れてて完璧だ。


ゲームスタート!
10秒後
ROM

ゲームスタート!
8秒後
ROM

ゲームスタート!
9秒後
ROM

ああ、終わってるね俺のPCは。あまりのスペックの低さに涙が出たよ。

何度やっても10秒で落ちる。これを繰り返すこと15回。やっと安定して繋がるようになった。途中でPCの本体がカタカタカタカタと音を立てて震えるけど気にしちゃいけない。すまんよ俺の愛するPCよ。

さっそく定番。「すみません。初心者なんですけど次何をしたらいいのかわからないんです。」

もう群れる群れる。5人くらい束になって人が群れてくれる。男も女もみんな寄って寄って寄りまくる。ちなみに男キャラでも一度同じことをしたのだが、15分たっても誰も見向きもしないので、涙ながらの断念。世間の風を真っ向に受ける結果となった。

女だったら一言目を発した瞬間に、まず道具袋に10万G入ってるんですよ。「足りない?」っとか言って次に5万G入金。ありえないね。ここまで男と女の差別が問題となると、女性専用車両で騒ぐ世間の女どもが憎たらしいよまったく。

4〜5人のハァハァ言ってる野郎どもに囲まれながら、しょ・・・おっとあぶねぇ、本名言いそうになった。Sさん武器が足りないの?Sさん盾が無いの?とかいいながらちょっといい武器なんかを大量に貢ぐ。きっとこの男どもは、モニターに向かって「Sちゃん大好き」ってボソボソいいながら俺を男だと知らずに物を貢いでるんだろうな。

ダメだよ。俺は男だから!そんなに貢ぐなよ!

だんだんアレなんですよ。罪悪感感じるんですよ。高校一年生の女子校生ってブランドがここまでデカイとは思わなくってどんどんそれが逆に怖くなってきた。こいつらマジだ絶対に。

多くのSさんファンとともに、俺たち(男の複数形)は初心者用のレベル上げの平原なんかに到着。

武器も装備も完璧です。なんか予備まで入れてくれてる優しいお兄さんもいました。モンスターが出てきて戦うとみんないっせいに俺に回復魔法を浴びせる。もう必要以上に。

でもって俺は言う「わぁ。みんな強いんですねぇ。あたし下手っピーだからそんな強そうな魔法一生無理w」

もうね、打ってるほうまで恥ずかしくなるんですよ。下手っぴーですよ下手っぴー。今時こんな言葉使う女はいるんだろうか。

でもその言葉に萌えを感じたのか、みんなものすごい勢いで俺はブラインドタッチができるんだぞと言わんばかりにすごいスピードを意識して打ってくる。あきらかに俺より打つ速度遅いけどバシバシ打ってくる。

俺なんかは本当だったら男どもがゆっくりのんびり打ってる間に3回くらいは発言できたんですが、ネット初心者の真似事してるわけですからすげーゆっくりうつんですよ。たまに「ありがpちう」って打ってみたりするんですよ。ああ間違って打っちゃったと。

なんだろうか、俺の演じる女が完璧すぎたのかわからないが、俺を中心につねに4人くらいのハァハァ野郎が集まっていた。そのうち一人なんて俺にもしかしたら気があるんじゃないかってくらいにベタベタ相手にしてくる。

俺もそこそこに萌えのある言葉を使うんですよ。「わー!じゃあ○○さんは先生ですね。」とか「怖いぃー」とかたくみに男のロリータな心をくすぐったりするわけで、なかなかブームを抑えてました。

たまに男言葉を使いそうになったりしてヒヤっとしたんですが、ヒロさん演じる完璧な女は強い。みんな一夜限りの可愛い女の子にぞっこんってことなんでしょうか。自分でもショックだった。男がこんなに弱い生き物だったとは。

男は強くないとモテないのに対して、女は弱者であればあるほど強いんですよ。俺はここで悟りましたよ深く。

時間も深夜の4時になりました。まずツッコミたいね俺は。清純そうな女子校生が夜中の4時までオンラインゲームしないって絶対。まずそういう女の子はゲーム自体もやらねぇーよ。今をトキメク高校生は恋愛に忙しいんだよ!

我ながら悲しい彼らの姿を見て目からこみ上げる熱い想いを何度も抑えつつ、俺は「もう眠たいニャ」宣言をした。なんかね、詳しいことはわからないんですが、深夜にネコ語を喋るロリータアニメが流行ってるらしいですね。それの影響でネコ語が男心にサクっと良い刺激を与えるらしいんですよ。

とりあえず落ちる。そういいかけた時、最後の最後で俺はとんでもない失敗をしてしまった。


「明日バイトがあるんで、もう寝なきゃいねないんですよ〜♪ごめんね☆」

もはや日本語の域を超えてますね。

女言葉に俺がでてきましたよ。俺ですよ。清純な女の子は「僕」って可愛く言っても「俺」なんていう下品な言葉は使わない。「俺」って言葉は野郎がいうセリフです。彼らが一番求めていない野郎が言うセリフですよ。

冷や汗が出てその場に入れなかった俺。

反応が帰ってくる前に切断。

本当にすまなかった。一夜限りの素晴らしい企画で、君たちにいい夢を最後までみせてあげられなくって。本当にすまない。俺はなんて罪な女なんだろうか。絶対許されない。

一流ホステスだか女帝だか何か勘違いして俺に大量の貢物を嬉しそうに届けてくれた彼らの嬉しそうな顔がモニター越しに蘇るんですよ。30過ぎたオッサンの顔が。もう悲しくてハンカチ一枚ではこの想いおさまらない。

ネカマは夢を与える。しかしその夢を崩してはいけない。そう悟った今日のヒロでした。それではおそまつ。


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