ブルマ革命

2003/01/22

丁度俺が中学校2年生の最後だったかな。3年の初めだったかな。記憶は曖昧なんだがうちの学校では世界を震撼させるような大事件が起きた。

「ブルマ廃止」

もう全男子生徒が嘆き悲しんでたんですよ。女の前では「へぇ〜そうなんや」程度でなんとも無い俺は紳士だぜと言わんばかりの極めて冷静を保ってるんですが、もうなんか女子の見て無い前ではみんな叫びを上げて悲しんでたんです。

エロに興味を持っているがエログッズ(エロ本・エロビデオ・エロDVD・エロゲーム)等のステキ用品を入手困難としていた当時の彼らには女子のブルマーほど恥ずかしくそして胸トキメキさせる癒し用品はなかったんです。

思春期の真っ只中の彼ら。受験に部活に恋に色々なことでストレスを抱えてた彼らには女子のブルマーほど変態チックでエロでセクシャルなグッズなどなかった。青春そのものだったのかもしれない。

しかしそんなしばらくの悦びもブルマー廃止という未だかつて無いとんでもない規則によって絶滅へと導かれてしまった。はっきり言ってPTA死ねって脅迫文作ろうと何度も考えましたよ。それくらい男どもは狂ってたんですよあのブルマーという名の青春に。

俺の行ってた部活の男子更衣室は、そんな本能と本能の爆発の場であった。「俺たちにブルマーを返せ」と意味ありげに叫びまくってたんですよみんなで。

俺は当時そんな恥ずかしいことできるような素直な性格じゃなかったんで、心の中でひそかに応援してたんですね。俺たちの癒しを返せと。もう彼らはテンションハイになってブルマーブルマーって叫んでいます。変態なんかじゃありませんよ彼らは。中学生は無垢であって、本当はどうでもいいことだけどとりあえずブルマーが無くなるってのを言い訳にしてとりあえず何か騒いでみたかったんでしょう。

そう実はブルマーなんかどうでもいい。本当にどうでもいい。ただなんでもいいから理由つけて騒いでる。ブルマー廃止なんか1週間くらいでもうどうだってよかった。

そんなどうでもいいことで騒いでいたある日、ちょっとした事件がこの男子更衣室に起こったんです。

ある日俺はカバンを開いたらカバンの中にはモリっとブルマァが入ってたんです。青くて純真なブルマァが丁度いいカバンのスペースに綺麗に収納されてたんです。もう自分の物ですって言わんばかりに綺麗に。

周りでみんなが着替えてる中一人カバンを開けれなくなった俺。周りではブルマブルマってあいかわらず騒いでます。ほんとうにどうでもいいバカな盛り上がり方なんですが。

しかしこんなときに俺のカバンの中にブルマァが入ってたなんて事が発覚したらどうなるでしょうか?ただでさえ大事件になるようなものをよりにもよってブルマァ廃止の時期にです。完全なる確信犯ですよね。変態の。

みんな騒いで俺が学校これなくなるくらいまで騒ぎを大きくしてくれるでしょう。当然女子の耳にも入って一瞬で広まり「ヒロ=変態」という授業で習わないような方程式が誕生してまず俺は夜逃げしないといけなくなる。

それはやばい。っていうかそもそもなんでおれのカバンの中にブルマァなんかが綺麗にたたまれて収納されていたのだ。意味不明。わけわかんねぇ。

実は俺は夢遊病で、夜中に可愛い女子の家のベランダに侵入してブルマァを被って、鼻の下伸ばしてニタニタして家に帰って明日の用意として大事にカバンにしまったのだろうか?学校に行くためのそのカバンを、可愛いこのブルマァの香りで染めて楽しむようなマジで危ない中学生となってしまったのだろうか?

だったとしたらどうしよう。これが本当だったら目の前にあるブルマァは可愛い子の物ってことになるのでちょっと嬉しいが、それ以上に将来駅なんかで女子高生に自分の息子を見せて楽しむような最高の変態になってしまうのだろうか?

みんなが着替えを終えてだんだん人が更衣室からいなくなっていって、俺はさりげなくそのブルマァを観察してみたんです。そしたら案の定・・・・うちの妹の名前が書いてあったんです。

体操服と一緒にはさまって持ってきてしまったようです。しかしこれはまずい。いくら妹のものであっても、下着と同等の価値に値するこのブルマァを学校にもってきてしまうとは。シスコン騒動なんか起こっては妹に申し訳が無い。兄貴は変態で悪かったと。

ブルマァを隠して何も無かったかのように着替えました。これだけは絶対にバレてはいけねぇ。

しかし部活が終わってそんなことなどすっかり忘れていた俺は、カバンを開けたときとうとう見られてしまったんです。部員に。

ブルマーブルマーって狂ってた部員が俺のカバンにブルマァを見たんですよ。ものすごい反応速度で俺のカバンからブルマァを取り出すんです。誇らしげに頭の上に掲げたりして。

そのまま頭の上に掲げたまま彼は更衣室の外に出ると、勿論当然の如くやってくれたんです。女子更衣室に投入!

やってた本人は大笑いしてたんですが、この瞬間一気にトランスが解けた部員たち。そいつ以外みんな真顔で冷や汗流してテンション落ちまくって。緊張が走りました。多分試合のときよりも張り詰めてた、このときの彼らは。

いっきに目が覚めた。ブルマァなんかに酔わされていた部員全員。いや、そいつを除いた全員はトランスから完全に復活。「剣道部は全員変態」という未だかつて無いフライデー級の新ネタが誕生してしまう瞬間になるのだとみんなが確信した。もう終わりだ。


あれからもう3年くらいは過ぎようとしているのだろうか。あのブルマァは最終的には帰ってこなかった。しかしだからといって変な噂も立たなかった。

妹のブルマァが一つ減ったとうちの母は大変騒いでいたが、妹はめっちゃくちゃアバウトな性格なので全然気にしなかった様子。本当によかった。

ブルマァが学校中からなくなってしまったあの頃。狂っていた俺たち部員は、あの無くなった妹のブルマァのおかげで目を覚まさしてくれた。

ブルマァはかえって来ないが、ブルマァ以外の青春はまだまだ続く。そう悟った中学時代でした。


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