伝説の料理人ヒロ
2003/01/11
今日某フジテレビ系の番組「めちゃ○ケ」を見てて思った。
俺でもできるってこんなの。
いやなんの根拠があってこんな偉そうなこと言ってるのかよくわからんが
カリスマ高校生の俺にとって今週のめちゃ○ケほどトキメクものはなかった。
100円カッパ寿司にやべっち(ナイ○イのツッコミ役)が修行しに行くというまぁ昼間とか深夜にやってそうな
中身の無い企画だったのだが、まぁ彼らにこの企画をさせたらそれもゴールデンタイムを飾る素晴らしい番組になる。
バイトでヘトヘトになってハラなんかもうバッコバッコと減りまくってる俺にはもう寿司が旨そうでたまらなかった。
ゴールデンからこんな旨そうなものを見せやがって。限界。もうありえない。
こんな簡単そうなんだし、作れそうじゃん。寿司くらい俺にでも。ってことで作ったんです俺も寿司を。
まず冷蔵庫を探す。寿司つくるとか言いながらあいかわらずネタもなければシャリも無いゼロからのスタート。
冷蔵庫の余り物でもヒロさんは完璧な寿司を作ってやりますよ。
まず炊飯器から一日放置しててカリカリになった玄米を発見。
うちはちょっと金がないから白米なんていう洒落たものなんかありやしない。
金の無い家庭は無い家庭らしく玄米を食うのが戦争時代からのおきてでしょ。
栄養たっぷりなんだし白米じゃなくてもきっと旨い寿司ができるはず。
次に前回に引き続き豚肉登場!
以前も日記で書いたが、親子丼ですらも豚肉でつくらないといけない家庭なんです。
そんな家庭に魚はおろか牛肉すらもありやしねぇ。
牛肉なんていう高級肉は俺の料理にいらねぇよ。俺は豚で寿司をつくる。
まず俺は酢飯を作ることにした。
とりあえず俺の大好きな「料理のさしすせそ」の入った台所の棚を調べる。
しかし我が家では酢なんていう高等調味料をつかうことなんかここ何年もない。
見つかるはずがない。っていうよりあっても使いたくないってノリだ。
しかし今酢が無かったら酢飯にならない。
・・・あった!ありましたよ酢!あったんだけど・・・・

(賞味期限が2年半過ぎてます。)
ああ、俺に賞味期限なんてものは関係ない!見た目がなんとか酢っぽいから使っても大丈夫だよ。
ってな訳で。。。。。

酢飯つくりました。
回りになにかき回すものを探しまくった。酢を入れたのはいいけど混ぜないと酢飯にならない。
ムラになったら俺の晩餐は台無しだ。近くにあったおでんを食ったらしい箸を発見。
猛烈な勢いで混ぜる俺。きっとヒロさんは将来いい父親になるだろう。
しかし箸なんていう表面積の比較的低い商品で酢飯を混ぜきることなんてできるわけない。
しかも酢の分量に問題があったのか「クチャクチャ」って音たてながら独特の酢臭を発するエキサイティング酢飯。
エキサイティング酢飯は玄米と賞味期限切れの酢の臭いが混ざってありえない臭いを発してる。しかし目をつぶろう。
酢の賞味期限なんか見なかったことにすればいい。
次にネタの豚を料理することにした。
相変わらず料理に使用頻度の高い豚肉だったが今回はちょっと大変。
なんたってこんなエキサイティング酢飯と見事にマッチする食材を豚肉のみで作らないといけない。
寿司なら普通生だろ!ってのが日本の心だが、豚肉を生でくらうのは死を意味する。
いくら日記のネタになるからって俺はそんなバカな真似までしない。俺はまだ生きたいぞ。
フライパンに水をしいてゆっくり熱を通す。だいぶ煮えたところにポン酢をかけた。
エキサイティング酢飯もここまでエキサイティングになられてはもはやこの臭いを生かすというより、この臭いを「殺す」以外他ない。
この臭いで食欲をそそる素晴らしい食事なんか作れるわけ無い。断言しておく。
酢でだいぶ味の濃くなった豚肉をマナ板に置いていい感じのサイズに切る。

いいにおいだ。この臭いであのエキサイティング酢飯のにおいを消し去ろう。完璧だ。
肉を切ってる間もルンルンだった。普通男の料理なら肉のサイズをめちゃくちゃに切るのが普通だが、
女の手料理級に美しく切った。一流料理って言ってもバレない。
しかしここで俺はとんでもないことに気がついた。

(賞味期限が一日過ぎてます。)
豚肉がここまでパラダイスなものとは思いもしなかった。しかしこのパラダイス豚肉、実にいいにおいを発している。
これが実際パラダイス豚肉だったなんて想像もつかない。熱も通ってるし見なかったことにしよう。
たしかに臭いがいい感じのフローラル玄米と独特の異臭のエキサイティング酢とパラダイス豚肉をまぜるのは相当の度胸だ。
耳糞と鼻くそとうんこを混ぜるような、混ぜれば混ぜるほど決していい方向には進まないドリーム寿司が完成する。
しかしごく少し。0.1%だけでも望みがあるとすればそうだろうか?
耳糞と鼻くそとうんこを混ぜて絶対いい方向にはならないけど、絶対奇跡はある。いくらドリーム寿司でも奇跡ぐらいは見れる。
夢の寿司ですから。
とりあえずそのパラダイス豚肉とエキサイティング酢飯で寿司をつくってやろうと思う。
いい感じに職人っぽく寿司を握った。

(完成!これが夢の寿司です。)
なんて素晴らしい寿司だ。斬新かつ繊細な俺の芸術感性がものの見事に表現されつくされている。
寿司は握るというよりもはや練るの域に達していたが、
その程度のことでツッコミを入れてるようでは寿司など起こらない。
寿司を練っている途中、それはそれは大変だった。まず通常のすし屋みたいなおいしそうな香りは愚か、
ゲロがでそうな酢と玄米の香りのハーモニーがたまらない。握れば握るほど寿司とは考えられないような不思議な握り心地に違和感を感じたが、そこは見なかったことにした。
さっそく食らうことにしよう。
まず箸を用意。「え?テメェ寿司は普通素手で食う物だろ!」っな具合で純日本人なら怒り狂うところだが、
こんなエキサイテェングな寿司を手で食うのは口に運ぶだけでも相当の技術を要する。
箸だ。箸で食うぞ!俺は。

あーあやっちゃった。
ポロポロと見事に崩れていく酢でギトギトの酢飯。おまけに玄米という粘り気のない米のせいで、汁の少なすぎた汁かけご飯のような
なんともいえない微妙な湿り気を保っている。
豚肉=茶色。玄米=茶色。っといった具合に彩り最悪なのでちょっと新しいデザインをつけてみた。

却下。
和食の中に洋食のフレンチなパンなんかありえなかったようですね。でもまあしかし男の料理は見た目よりも心ですから。
俺が全精力注いで作った寿司にまずいなんて言葉は似合わない。とりあえず寿司を食らおう。
寿司を一口入れたとき思わず俺はガッツポーズをきめた。
さすがエキサイテェング寿司。見た目もさることながら、味までしっかり俺の期待に答えてくれてるよ。
まず臭い。ありえないくらいに。でもって次に気になったのは酸っぱい。酢の酸っぱさとポン酢の酸っぱさがまずやばい。
酢+酢で異様なすっぱさをかもし出している。シャリの許容を超えた酢は「ここまできたら健康なわけねぇだろ!」って雰囲気がよく出てる。

のこり3つとなって俺は一度箸が止まった。自分で作る料理は旨い。ってのが定番だがここまで自分の料理がまずく感じたことなんて未だかつてない。茶色いうんこみたいなエキサイティング寿司を前に、大食い選手権で残り一杯のご飯を目の前にしたときの選手のあの心理が痛いってくらいに悟れた。
しかし自分で作った料理。簡単に食の理念を捨てるまい。捨てるまいそ。

肉だけをとりあえず口に入れる。だめだ。余計に食えねぇ。この異様に茶色がかったシャリが本気で食えねぇ。
しかし見ておれ!全国の好き嫌いの多い小学生よ。給食でキライな物がでても食うんだ。俺は今こそこの食ってまず生きてるかどうかわからないこの酢飯を食って手本を示してやろう。

手を合わせてゴチソウサマを言ってみるヒロ。
寿司はもう食いたくないと思う今日でした。
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