トイレ危機

2003/01/10


俺がまだ幼い幼稚園時代の時トイレにあるトイレットペーパーが大好きだった。

普通幼稚園時代の記憶なんてのこらねぇし!ってツッコミが着そうだけど、俺は何故かこのトイレットペーパーが大好きだったことを鮮明に覚えてる。何百回転も巻かれているあのトイレットペーパーに俺はぞっこんだった。

どれくらい好きなのか言ってみると、マヨネーズをトイレットペーパーにかけたらきっと美味しく召し上がれると思って、 何度か実戦しようとしたこともあったくらいだ。もうありえないって位にトイレにあるあの魔法のロールにゾッコンだった。かなりトイレットペーパーフェチだった。

今トイレットペーパー食うって聞いて俺のこと変人だと思っただろ?しかし幼稚園のときクレヨンを「あー青まずいわー」とかいいながらアホみたいにボリボリ食べた人はいるはず。日本人だったら8割くらいは絶対食べてるはずだクレヨン。俺の調査に間違いなどない。

それがたまたま俺の場合はトイレットペーパーだったというだけ。別になんにもおかしくない。

トイレに入った時は必ずトイレットペーパーで遊んだし、ケツを拭くときも勿論ありえないって位の量のペーパーをフルに使ってぬぐいまくっていた。ケツが切れるんじゃないかって位ペーパーとじゃれあっていた。そんなこんなで、バリバリととトイレットペーパーライフを満喫していたある日、事件は起こった。


その日俺はとてもテンションが高かった。ものすごく高かった。江頭に勝てるというくらいにテンションは絶好調だった。

トイレに入るといつものように綺麗にロールされているトイレットペーパー。幼かった俺にはそのトイレットペーパーが輝いて見えた。 もはやトイレットペーパーにときめいてるといったところだろうか。

トイレットペーパーの端を持ったとき、俺の手は怒涛の勢いで走り始めた。綺麗にロールされてたトイレットペーパーをいっきに引っ張ってそんでもってそれを全部便器に突っ込んだ。トイレットペーパーをフル回転させて、ガリガリと便器に突っ込みまる。

意識が戻ったとき、目の前には便器から溢れまくる量のトイレットペーパーの残骸が散らかっていた。

正直焦る。こんなの親父に見られたらボコボコにされる。貴重な資源であるトイレットペーパーをそうも簡単に無駄遣いされたらいくら 幼稚園の可愛い息子でも生かしてはいられない。

トイレの流すを押しまくった。全てをリセットしよう。便器から溢れまくる量のトイレットペーパーがみるみるうちに便器の中へガボガボと吸い込まれていく。俺はそのとき便器の真の力に恐怖を感じていた。もはやこの便器、どんな物でも吸ってしまうのだろうと。

「ゴボボボボボボボボボボボボボボボボボ・・・・・・・」

突然トイレが奇妙な音を立て始めた。さっきまでガボガボガツガツと勢いよく飲み込んでいたトイレットペーパーが突然吸い込まれなくなる。でもって便器の中の水位がドンドン増していく。

ヤバイ。このままでは便器の中の聖なる水が溢れてしまう。便器という名の聖なる器から水がこぼれる。溢れまくる!

しかし勢いよく発射される便器の水にストップボタンなどない。自然の流れに従うようにドンドンタンクの中の水を怒涛の勢いで便器に放出する。

とっさに俺は神様に祈った。お願いだからこれ以上聖水が増えないでくれと。焦った俺はとっさに「流す」のレバーを何度もひねった。 この水の勢いで詰まったトイレットペーパーを押し流されてくれるかもしれないと願った末に俺はそんな作戦にでた。

もちろん勢いでずにボロボロとでてくる微妙な水はドンドン便器の水位を増していかせる。底の方からゴボゴボって音がして泡とかでまくってもうなんかトイレというより浴槽。

ついに限界を突破した。ザーっていいながら水がどんどん溢れていく。床にどんどん溢れまくって。

さすがに親はこの異変に気がついた。トイレを開けて水に溢れたその光景をみて母は今までに見たこと無いものを見るような目でみた。 汚いとかそんな目ではない。珍しい物を見る目だ。息子を見る目ではない確実に。

聖水で溢れきったそのトイレから俺を救い出した母。水道屋もでてきたりもう大変な騒ぎになった。

幸いにも俺は糞をしていなかったので透明で美しい水だったのだが、水道屋を呼ぶ大事件になったのだ。もうトイレットペーパーで遊ぶことなんてできない。トイレットペーパーで危うく溺死しかけたのだ。マヨネーズつけても食えないよ俺は。


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