おねえさんを信じて。

2002/12/15



突然だが俺は飢えていた。
まだまだ無垢な高校生。「飢えている」って言われたら考えることは「女の体に飢えていた。って考えるのがごく普通であり、もし俺がこの日記を読む読者だったら「あぁ・・ヒロか。あいつは年中頭の中はエロとセックスィな妄想でエキサイティングだからな。」ってな具合でだれも俺の紳士極まりない一面を全く弁護しないだろう。
いや、本当に間違ってないよ。
本当に俺はエロの中のエロ、どエロだ。
でも今回に限っては本当に違うんです。










食い物に飢えていたのです。










もう生命の危機がすぐ目の前まで迫ってくる位まで飢えていて、歩くのもままならないんです。
そろそろ視覚までやられそうな危機が一刻に迫ってました。
そんな状況下だというのに、食べる物が全く見当たらないんです。
いや、食べ物で満ち溢れている日本に限ってそんな不条理なこと無いだろうと思ってしまうでしょう。
食う物あるんですよ。
回りにコンビニでもマクドナルドでもなんでもあるんですよ。財布の中身だってちゃんと3日分は生きていけるくらいのお金と大量の割引券が眠ってるし、無駄にデパート券まで持ち歩いてるんです。
もし路傍にさまよっても最低1週間は飢えずに生きていけそうなくらいのサバイバル魂くらいは財布に入ってます。
そんなサバイバリィな俺なのに、本当に食欲に飢えています。
絶命寸前まで飢えています。
なんでか、って言うとね。











生と死を彷徨ってる状況下にもかかわらず、「吉牛」ばかりをさがしてるんです。












そこらへんにマクドナルドやらローソンやらあるのにもかかわらず「吉牛」にこだわってます。男の意地です。絶対に吉牛を食うまで俺と後輩は口に物を入れないと誓ってました。
いや何でか知らんけど、牛丼以外食ってはいけないという空気に見舞われているんです。
もう後には引けません。しかしなんせ俺と後輩が歩いている場所なんですが、北も南もわからない位のマップゼロな町なんです。
もう10分はあるいてるのにさっきからローソンしか見つかりません。とりあえずローソンはローソンでも「最寄のローソン」へと直行。道を聞くことにした。
あいも変わらずどこのローソンも全く変わらないデザインで、公共料金の商品を美しく並べてありました。近くのレジのお姉さんに声をかけましょう。・・いや、ナンパとかそういう野心は無いですよ。本当に、ただ純粋に道を聞こうと思ってレジのお姉さんに声をかけたんです。
「この道をまっすぐ歩いていけば、ちょっとしたらみつかりますよ」
礼儀の無いコンビニの腐れ教育がすすむなか、おねえさんはとても丁寧に道を教えてくれました。俺はただ純粋に、ただ純粋に、おねえさんに感謝していました。もう下心も上心も何にもありません。しかし・・・












後輩の目の色は変わっていました。











その目つきは「吉牛に行ける!やっと食える!」っていう切実な心なんかではなく、「おねぇさん、牛丼よりもあなたが食べたいです。」っと言わんばかりにギラギラとした目つきでした。
ローソンである以上は自分より年上であるのは確実です。18才以上しか雇わないので17歳の俺でも最低1歳離れているのは本当に確実なんです。弱ロリコンがかかっている俺には、年上など視野にはありません。
・・・しかし前々から年上と付き合いたいと何度も口々に語り語りしている後輩の目にはまるで天使ってな感じだったようで、本格的に顔がニヤついてました。
まぁ相手はコンビニのレジ。そう簡単にはお近づきにはなれるわけもなく、おねえさんの道案内だけをたよりに吉牛を探すことになったんです。
まわりは結構日が落ちて暗くなってきていました。けっこう歩いたんですがね。本当にけっこう歩いたんですけど、、吉牛まだ見つからないんです。
後輩は「あのお姉さんマジ可愛かったッスね!」などと同じような話をリピート再生していて、それに対して俺も「俺もヤバイ、トキメイた!」などと心にも無い言葉を、留守番電話の如く繰り返してみるのですが、
まだ吉牛の看板が目に付かないんです。
ずっと歩いているのにマジで見つからないんです。弱1時間は歩いてます。
お姉さんの言ってることは嘘だった、諦めよう。っと何度も交渉するが、後輩は「おねえさんの言ったことに間違いは無い」っと意地を張ってなんどもあるいています。
「可愛いお姉さんが嘘をついた」っというより「嘘をついたのは可愛いお姉さん」ってな具合で、可愛いお姉さんという名のブランドに後輩は酔いしれています。























おねえさん「ありがとうございましたぁ〜〜♪」










ローソンのお姉さんのブランドは、一時間半歩いたところでマクドナルドのお姉さんっと言う名のブランドへと切り替わってました。
マックチョイスにてフィッシュバーガーとポテトのLとコーラをチョイス。しかし後輩は調子に乗ってハンバーガーを7つチョイス。
まだ幼さの残るその体にはハンバーガーは重かった。
致死量を越えた瞬間、トイレに癒されに行きました。


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